付注1-3 為替レートから消費者物価へのパススルーの推計方法について
1.為替レートの変化に対する輸入物価の弾性値
為替レートの変化に対する輸入物価の弾性値は、以下の式において為替レートに係る係数(a0~a-4)の合計値とした(使用したデータは四半期値)。
ただし、p:輸入デフレーター、e:名目実効為替レート、w:海外の生産コスト、gdp:海外の実質GDP
2.輸入物価の変化に対する消費者物価の弾性値
輸入物価の変化に対する消費者物価の弾性値は、貿易財(国内生産分)、貿易財(輸入分)、非貿易財についての弾性値の加重平均(計算式は後掲)。それぞれの弾性値はCES型効用関数などを前提とした経済モデルより導かれる以下の式より計算。
貿易財(国内生産分):
貿易財(輸入分):
非貿易財:
ただし、P(h):貿易財(国内生産分)の価格、P(f):貿易財(輸入分)の価格、P(n):非貿易財の価格、θ:消費の弾力性、μ(h:e):中間投入(貿易財の国内生産)に占める輸入財比率、μ(n:e):中間投入(貿易財の国内生産)に占める輸入財比率、ημ(h:e),e:為替レートの変化に対する中間投入(貿易財の国内生産)に占める輸入財比率の弾性値、ημ(n:e),e:為替レートの変化に対する中間投入(非貿易財)に占める輸入財比率の弾性値、m(h:e):貿易財(国内生産分)の商業・運輸マージン率、m(f:e):貿易財(輸入分)の商業・運輸マージン率、ηm(h),e:為替レートの変化に対する貿易財(国内生産分)の商業・運輸マージンの弾性値、ηm(f),e:為替レートの変化に対する貿易財(輸入分)の商業・運輸マージンの弾性値、W*:海外の賃金、Zf:海外の生産性(貿易財の輸入分)
輸入物価の変化に対する消費者物価の弾性値は、以下の式により貿易財(国内生産分)、貿易財(輸入分)、非貿易財についての弾性値を加重平均した。
ただし、α:消費に占める貿易財の比率、αT:貿易財の消費に占める国内生産分の比率、φ:貿易財消費と非貿易財消費の代替性
3.参考文献
Campa, Jose M., and Linda S. Goldberg, “Distribution Margins, Imported Inputs, and the Insensitivity of the CPI to Exchange Rates,” NBER Working Paper No. 12121, National Bureau of Economic Research, 2006