平成19年度

年次経済財政報告

(経済財政政策担当大臣報告)

−生産性上昇に向けた挑戦−

平成19年8月

内閣府


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はじめに

 日本経済はバブル経済の崩壊後の1990年代を通じて長期的に低迷する状態が続いた。資産価格が急落する一方で企業と金融機関のバランスシートも悪化し、国内需要が減退する中でデフレ状態に陥った。この間に企業部門は過剰な雇用・設備・債務を抱え込むとともに、金融機関の保有する不良債権が膨大な規模に達するなど、単純な景気悪化とは異なる構造的な問題に日本経済は直面することとなった。
 こうした状況に対応するために民間の企業部門は厳しいリストラを推進することで過剰な雇用・設備・債務を解消するとともに高収益体質を目指した。政府も金融機関の不良債権処理を促進するなどの構造改革を進める一方で、金融面からは量的緩和の措置をとるなど、政策面での対応に積極的に取り組んだ。さらに2000年代以降に世界経済の拡大が続く中で日本経済は長期的な回復局面に入り、ようやく過去の負の遺産を払拭し新しい成長基盤が確立される段階に至った。
 しかしながら日本経済を取り巻く環境はバブル前とは大きく異なり、グローバル化、IT化も含む技術革新が急速に進展する一方、少子高齢化による人口減少が見込まれる中で市場における競争の厳しさが増している。こうした変化に対応しながら企業が活発に活動し、家計がその恩恵を享受できるような環境を実現するためには、日本経済全体の生産性を高めることが重要な課題となっている。ここで日本経済のおかれた状況を精査し、これまでの構造改革が企業、家計にどのような変化をもたらしたかについて適切に把握することはこの課題を解く重要な鍵となる。
 今回の白書ではこのような観点から長期的な景気回復の実態を確認するとともに、景気回復の結果として生産性の上昇に向けた成長基盤がようやく整いつつある状況を検証する。その際に企業部門、家計部門を取り巻く経済条件の変化をより長期的な観点から分析する。
 第1章では、短期的なマクロ経済の視点を中心に長期化する景気回復の仕組みとその持続性について検討する。2002年から始まった景気回復が企業部門から家計部門へと波及してきた状況を振り返るとともに、物価の持続的な下落の収束について整理する。このような景気回復の中でゼロ金利解除が実施された後の金融市場の動向についての分析も行う。
 第2章では、マクロ・ミクロ双方の視点から生産性の向上についての考え方の整理を行う。特に、グローバル化、IT化、少子高齢化などの経済社会の環境変化に対応した企業行動を生産性の向上という観点から分析するとともにイノベーションを創出するための課題について検討する。
 第3章では、長期的な景気回復とともに進展した労働市場の構造変化が家計部門に与えた影響について雇用形態の多様化という視点を軸に整理する。海外での労働市場改革なども参考にしつつ、雇用制度の変化に伴う雇用への影響や労働者の賃金交渉過程などを分析するとともに、格差と所得再分配政策の在り方についての考察を行う。

コラム1 経済財政諮問会議
<経済財政諮問会議とは>

 経済財政政策に関し、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的として、2001年1月に設置された。

<現在のメンバー>
 安倍晋三内閣総理大臣(議長)、塩崎恭久内閣官房長官、大田弘子経済財政政策担当大臣、菅義偉総務大臣、尾身幸次財務大臣、甘利明経済産業大臣、福井俊彦日本銀行総裁、伊藤隆敏東京大学大学院経済学研究科教授(兼)公共政策大学院教授、丹羽宇一郎伊藤忠商事株式会社取締役会長、御手洗冨士夫キヤノン株式会社代表取締役会長、八代尚宏国際基督教大学教養学部教授

<最近の主な活動>
2005年12月〜2006年1月   「構造改革と経済財政の中期展望−2005年度改定」(いわゆる「改革と展望−2005年度改定」)の審議(閣議決定(1/20))
2006年5〜7月 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(いわゆる「基本方針2006」)の審議(閣議決定(7/7))
2006年7月 「19年度予算の全体像」の審議(諮問会議取りまとめ(7/20))
  「概算要求基準」の審議(閣議了解(7/21))
2006年11〜12月 「平成19年度予算編成の基本方針」の審議(閣議決定(12/1))
2006年12月〜2007年1月 「日本経済の進路と戦略」(いわゆる「進路と戦略」)の審議(閣議決定(1/25))
2007年2〜4月 「成長力加速プログラム」の審議(諮問会議取りまとめ(4/25))
2007年5〜6月 「経済財政改革の基本方針2007〜「美しい国」へのシナリオ〜」(いわゆる「基本方針2007」)の審議(閣議決定(6/19))


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