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<2007年の経済>
2007年の経済成長率は5.7%となり、06年の4.9%を上回る成長となった。07年前半は、IT関連財等の輸出の緩やかな増加と民間投資等の内需の堅調な伸びに支えられて、景気は緩やかに拡大した。年後半は、好調な輸出に支えられ、年前半に比べ高い成長をみせた。内需をみると、民間消費は06年に比べて改善がみられたものの、年後半の物価上昇の加速を背景に実質購買力が低下し、緩やかな増加にとどまった。民間投資は機械設備投資を中心に伸びがやや加速した。一方、輸出は、アメリカ向けは伸び悩んでいるものの、中国、ASEAN向けが伸びを高め、IT関連財を中心に拡大した。
雇用情勢をみると、失業率は4%を下回る水準でおおむね横ばいで推移した。また、消費者物価上昇率は、国際商品価格の高騰を背景に年後半から伸びが高まったほか、10月は台風被害による農作物等の食品価格の上昇により、総合指数で前年同月比5.3%と96年8月以来約11年ぶりの高い伸びを記録した。コア消費者物価(総合から果物、野菜、魚介及びエネルギーを除いたもの)も、年後半にかけて伸びが高まった。
<2008年の経済見通し>
2008年は、輸出の伸びは緩やかになると見込まれるものの、公共投資の拡大による下支えもあって内需は改善していくとみられることから、4%前半程度の成長率が見込まれる(台湾当局見通し4.3%(08年2月時点)、民間機関25社の平均4.2%(08年5月時点))。しかしアメリカの景気が弱含みで推移している中、世界経済の減速が予想以上に長期化、深刻化する場合には、さらに減速する可能性がある。
<財政金融政策の動向>
財政政策については、2008年度中央政府予算(当初予算)をみると歳出が前年比3.5%増の1兆6,859億元、歳入は同7.0%増の1兆5,934億元となっており、財政収支は07年度に続き財政赤字となっている(925億元の赤字)。また、台湾では公共債務法により、予算編成に際して、政府債務残高を名目GNPの過去3年平均に対し40%内に抑えなければならないため、当局は財政赤字の抑制を図っており、当初予算案では08年度における政府債務残高は同32.5%とされた。その後、5月に、原油価格の高騰とアメリカ経済の減速等を踏まえ、国内経済の景気振興や地方建設の促進のため、公共投資の追加等を盛り込んだ補正予算が閣議決定されている。
金融政策については、07年は物価の安定や低水準にある実質金利を中立的な水準に引き上げることなどを目的として、3か月ごとに行われる政策決定会合で政策金利(中央銀行再割引率)を毎回0.125〜0.25%ポイントずつ引き上げられた。08年3月にも0.125%ポイントの利上げが行われており、利上げは04年10月以来15回連続となっている。その間の利上げ幅は合計2.125%ポイントとなり、政策金利は08年3月に3.875%と01年6月以来の高水準となっている。