4 韓 国 Republic of Korea |
<2007年の経済>
2007年の経済成長率は5.0%と06年の5.1%と同程度の水準となった。引き続き良好な輸出の伸びと堅調な個人消費、設備投資が成長をけん引した。輸出は、IT関連財や一般機械、自動車、船舶等を中心に増加し、輸出先では、アジア域内や中東等新興国向けが増加するなど多様化がみられた。内需については、失業率が5年ぶりの低水準で推移するなど良好な雇用・所得環境に支えられて民間消費が堅調に増加した。設備投資は、年前半は比較的堅調に推移し、7〜9月期に半導体製造装置への投資等の減少により一時前期比減少に転じたが、その後は回復した。ウォンの減価及び国際商品市況の騰勢を背景として、消費者物価上昇率(総合)は07年11月に韓国銀行が設定している物価安定目標(前年比3.0%±0.5%)の上限に達し、高水準で推移している。
<2008年の経済見通し>
2008年の経済成長率は4%台半ば程度になると見込まれる(政府見通し4.7%(07年7月時点)、民間機関25社の平均4.5%(08年5月時点)。民間機関の見通しは、前回(07年11月時点5.0%)から下方修正された。
08年1〜3月期の成長率は、前年同期比では5.8%と前期と同程度だったものの、前期比で0.8%と大きく減速した。民間消費と設備投資を中心とした内需の減速とともに、これまで成長をけん引してきた輸出が実質で前期比減少に転じたことが影響した。また、半導体を中心にIT関連財の在庫率が上昇し在庫調整局面に入りつつあり、当面生産の下押し圧力となると考えられる。年後半は海外需要の回復とウォンの減価を反映した輸出の持ち直しが成長を支えると見込まれる。
下方リスクとしては、一次産品価格等の高止まり又は一層の高騰、ウォンの減価が輸入物価を押上げることによるインフレ懸念の深刻化や、交易条件の悪化による所得流出の拡大等が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政政策については、2007年12月に成立した08年度予算では、前年度比7.5%増の256兆1,700億ウォンとなった。一般会計における予算は前年度比5.2%増の156兆5,400億ウォンで、当初予算案からは社会福祉、南北協力に関する予算が減額され、R&D(研究開発)分野や人材・産業の育成等に重点を置いた配分となった。08年2月に発足した李明博新政権の下、政府は当初6%の経済成長や35万人の雇用創出等を目標に掲げていたが、内需の減速と原油高を受け、補正予算も検討されている。
金融政策では、韓国銀行は07年7月、8月に政策金利を0.25%ポイントずつ引き上げ5.0%としたが、同年9月以降は据え置いている(08年3月に政策金利をコールレート翌日物誘導目標水準から韓国銀行及び金融機関のレポ取引を基準とした韓国銀行基準金利に変更。)。景気減速と物価上昇が同時並行で進む中で、政策運営のかじ取りが難しい局面となっている。