<2007年の経済>
ロシアでは、内需にけん引されて景気拡大が続いている。2007年の経済成長率は8.1%と06年の7.4%からやや伸びが高まった。需要項目の動きをみると、個人消費は所得の大幅な増加(07年の実質可処分所得は前年比10.7%増)を反映して同12.8%増と二桁の増勢を維持したほか、固定投資は同20.8%増と加速した。他方、外需では、財・サービス輸出が原燃料への需要増等から同6.4%増(06年は同7.3%増)と堅調に増加したものの、財・サービス輸入が内需の好調を反映して同27.3%増(同21.6%増)と加速したため、純輸出の寄与度は▲3.6%(内閣府試算)となった。
消費者物価上昇率は高水準だが1999年以降緩やかに低下しており、07年は前年比9.0%とロシア連邦成立以降最も低い上昇率となった。失業率は、景気の回復・拡大基調を反映して、99年以降おおむね低下傾向にあり、07年には6.1%となった(06年は7.1%)。
貿易動向をみると、07年の輸出額(通関ベース)は石油価格が高騰を続けたことから前年比17.1%増(06年は同24.5%増)となった。他方、輸入額は内需の好調から同36.0%増(同31.0%増)となった。貿易黒字は07年1,320億ドル(06年は1,393億ドル)と、輸入の増大からやや前年を下回ったものの依然として高水準であり、経常収支黒字も07年783億ドル(06年は944億ドル)と同じく高水準にある。こうした経常収支黒字やロシア企業の海外での株式公開による資本流入等を背景に06年末に3,000億ドルを上回った金・外貨準備高は、07年5月末に4,000億ドルを上回り、08年5月末には5,474億ドルへと増大している。
<2008年の経済見通し>
2008年の経済成長率は、石油価格の動向に大きく左右されるとみられるが、政府は、引き続き個人消費や固定投資の内需がけん引することにより7.6%の成長率を見込んでいる(経済発展貿易省見通し(08年5月時点)、民間機関6社の平均は6.9%(08年4月時点))。なお、この政府見通しの数値は、ウラル産原油価格が07年平均の69.3ドル/バレルから08年平均で92ドル/バレルに上昇するとの前提で作成されている。
消費者物価上昇率は、06年9.7%、07年9.0%と2年連続一桁台で推移したものの、08年は12.9%と再び10%を超える見通しとなっている。他方、雇用面では、これまで低下してきた失業率は08年に5.6%(07年6.1%)とさらに改善する見通しであり、08年の実質可処分所得は前年比10.6%増(07年10.7%増)と引き続き高い伸びとなって個人消費を下支えする見通しである。
<財政金融政策の動向>
2007年7月に上下院を通過し大統領が署名した08〜10年の予算法案では、財政収支の名目GDP比は、08年0.2%、09年0.04%と黒字が縮小し、10年には0.0%と均衡に向かう予算となっている。
ロシア中央銀行は、物価の低下に応じ07年6月に政策金利を10.00%(ロシア連邦成立以降最低水準)まで引き下げたが、その後の物価上昇に対応して08年2月、4月、6月に各0.25%引き上げている(08年6月末現在10.75%)。