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21 株価・金利・為替  Financial Market

株価・金利・為替の推移

<株価の動向>
  2007年2月末の中国における株価下落を受けて、各国の株価は一時的に急落した。その後、アメリカではサブプライム住宅ローンの延滞率の高まりや債務不履行が顕在化し、景気減速の懸念が徐々に高まりつつあったものの、活発なM&Aやグローバル企業の好調な業績等に支えられ、NYダウや各国の株価は再び上昇基調を維持し7月まで上昇し続けた。しかし、8月にサブプライム住宅ローン関連の証券化商品の損失懸念から短期金融市場における市場金利が急上昇するなど流動性不安が進行したことから、先進国の株価は急落した。その後、欧米の中央銀行による短期金融市場への資金供給、FRBによる政策金利の引下げ等の効果により、上昇に転じ、10月にはNYダウが14,000ドルを超え過去最高値を更新した。
  しかし、07年7〜9期以降は、欧米金融機関の業績悪化が顕在化し、サブプライム住宅ローン関連の証券化商品の損失額が当初見込みより膨らんだことや、サブプライム住宅ローン問題の金融以外の業種や実体経済への影響が明らかになってきたことから、投資家の資金が「質への逃避」の動きによってリスク資産から実物資産に向かい、世界各国の株価は大幅に下落した。08年春以降、各国中央銀行による資金供給策や金融機関による資本増強の取組み、NY連銀によるベア・スターンズ救済合併への特別融資実施などを受けてやや持ち直したが、依然軟調に推移している。

<金利の動向>
  短期金融市場の金利上昇や信用収縮を受けて、07年8月に緊急開催されたFRBの連邦公開市場委員会(FOMC)では、公定歩合を0.5%ポイント引下げ4.75%とすることを承認した。07年9月以降のFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利が計7回の利下げで合計3.25%ポイントと大幅に引き下げられ、08年4月には2.0%とされた。07年上半期には5%近くだったアメリカの短期金利は、政策金利の引下げに連動して1%近くまで低下したが、08年第4〜6月期から上昇に転じ1%台後半で推移している。また、長期金利についても、07年上半期は世界的な景気回復の流れを受けて4%台後半まで上昇した後、投機資金の「質への逃避」の流れを受けて一時3.5%未満まで低下したが、08年4〜6月期から上昇に転じ4%前後で推移している。
  一方、欧州中央銀行(ECB)は、07年上半期は0.25%ポイントの政策金利の引上げを2回実施した。下半期以降は、サブプライム住宅ローン問題に端を発する景気減速の懸念の高まりとエネルギー価格等の上昇による物価の上振れリスクの中で、政策金利を据え置いてきたが、08年7月に0.25%ポイント引上げ4.25%とした。ユーロ圏の短期金利、長期金利はともに、07年下半期以降緩やかに低下してきたが、08年4〜6月期に入り上昇に転じつつある。

<為替の動向>
  ドルは、06年に続き、07年から08年4月まで名目実効為替レートでみて減価基調で推移した。特に07年下半期以降は、政策金利の大幅な引下げやアメリカの景気減速懸念の高まりを背景として、減価のペースを速めた。ユーロに対しては、過去最安値の1ユーロ=1.6ドル目前まで減価し、円に対しても07年半ばから急激に減価し一時1ドル=100円未満まで減価した。しかし、08年4〜6月期に入りユーロ、円の両方に対してやや増価傾向で推移している。
  ユーロは、サブプライム住宅ローン問題の影響が及び始めてから、EU各国の景況感の改善のペースが鈍化したものの、ECBが政策金利を据え置いたこともあり、名目実効為替レートで増価した。円に対しては、07年7月に1ユーロ=168円台の最高値をつけた後、円キャリートレードの巻戻しや景気減速の懸念等により150円台半ばまで減価した。08年4〜6月期に入ってからは再び増価し、1ユーロ=160円台で推移している。


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