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16 イタリア        Republic of Italy

イタリア経済のこれまで

2007年の経済>
  2007年の経済成長率は1.4%となり、06年から減速したものの、1.2%程度とされる潜在成長率を若干上回る成長となった。消費は、家計の可処分所得の増加や耐久消費財購入への財政支援措置等から景気をけん引した。ただし、07年10〜12月期は、消費や輸出の減少から前期比マイナスの成長となった。純輸出は、輸出が07年は前年比4.5%と堅調であったことから、06年に続きプラスの寄与となった。また、景気回復を背景に雇用は増加し、失業率は06年10〜12月期の6.4%から07年10〜12月期には6.0%に低下した。消費者物価上昇率は、エネルギー価格や食料品価格上昇の影響により07年半ばから上昇し、12月には前年同月比2.6%の上昇率となった。

イタリア経済の主要経済指標

2008年の経済見通し>
  2008年はユーロ圏全体と比べて低い成長にとどまり、07年を大きく下回る成長となると予測される(欧州委員会0.5%、民間機関4社の平均0.8%、08年5月時点)。民間機関の見通しは、半年前(07年11月時点1.4%)に比べて大きく下方修正されている。成長を支える要因としては、良好な雇用環境を背景とした消費の回復、最大の輸出先であるドイツの景気回復が挙げられる。一方、企業景況感は07年には悪化しており、設備投資も弱い動きが見込まれる。
  下方リスクとしては、アメリカ経済の一層の減速、原油価格や食料品価格のさらなる高騰、想定以上のユーロ高に伴う輸出の減少等が挙げられる。

<財政政策の動向>
  2007年の財政赤字はGDP比1.9%となり、EUの「安定成長協定」で定めた遵守基準(同3%)を02年(同2.9%)以来5年ぶりに達成した。政府は07年11月に欧州委員会に提出した「安定プログラム」の中で、07年に同2.4%まで財政赤字を削減する計画を打ち出していたが、税収が見込み以上に確保されたことから、目標を上回る実績となった。しかし、07年10〜12月期に前期比でマイナス成長となるなど景気が悪化したため、政府は08年3月に08年成長率見通しを1.5%から0.5%へと引き下げ、08年の財政赤字見通しも安定プログラムのGDP比2.2%から2.5%へと変更した。
  08年春の欧州委員会の見通しでは、08年と09年の財政赤字をそれぞれGDP比2.3%及び2.4%と、07年秋の見通しに比べ09年はやや悪化するとの見方を示した。
  07年末の政府債務残高はGDP比105.0%と依然として100%を超えており、07年の純利払いは同4.8%と見込まれるなど利払い費の負担は重い。政府見通しでは、08年末には政府債務残高は同103.5%へとやや低下するものの、利払い費は同4.9%へと高まる見込みとなっている。
  08年4月の上下両院総選挙で、ベルルスコーニ前首相率いる中道・右派連合の「自由国民」が勝利し、5月に第3次ベルルスコーニ政権が成立した。前プロディ政権の支出削減、増税政策を批判し、減税を始めとする景気対策重視を公約してきたことが国民の支持を得たこともあり、今後の財政赤字の見通しには不透明感もみられる。


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