目次][][][年次リスト

15 フランス         French Republic 

<2007年>
フランス経済のこれまで

2007年の経済>
  2007年の経済成長率は2.1%となり、06年の2.4%からやや減速したものの、内需を中心とした回復が続いた。内需の寄与度は3.0%で、前年の2.7%を上回った。特に消費は、雇用の増加による家計の可処分所得の増大等から、07年も前年比2.5%増と高い伸びを維持した。政府の雇用対策もあって雇用情勢は改善しており、07年10〜12月期の失業率は7.4%となった(83年10〜12月期(7.3%)以来の低水準)。生産は緩やかに増加した後、年末にかけておおむね横ばいとなった。企業の設備投資は高水準の設備稼働率を背景に前年比7.3%増と引き続き堅調に推移した。一方、06年まで低金利を背景に活発であった住宅投資は、住宅着工件数や住宅建設許可件数が減少する中、07年には減速した。純輸出は、エネルギー価格の上昇や輸出産業の競争力低下を背景に6年連続のマイナス寄与となった。消費者物価上昇率は、エネルギー価格や食料品価格上昇の影響により、07年半ばから上昇し、年末には前年比3%前後の上昇率となっている。

フランスの主要経済指標

2008年の経済見通し>
  2008年は1%台半ば〜後半の経済成長が見込まれる(政府見通し1.7〜2.0%、民間機関22社の平均1.6%(08年5月時点))。民間機関の見通しは、半年前(07年11月時点2.0%)に比べて下方修正されている。景気回復を支える要因としては、まず、雇用環境や可処分所得の改善により消費が景気を下支えする効果が考えられる。ただし、08年1〜3月期には消費は横ばいとなり、消費者信頼感指数も大幅に低下していることから、その下支え効果は前年を下回ると見込まれる。次に、企業の設備稼働率は高いレベルにあり、設備投資は堅調に増加すると見込まれる。
  こうした見方に対する下方リスクとしては、アメリカ経済の一層の減速、金融資本市場の混乱の長期化・深刻化、想定以上のユーロ高に伴う輸出の減少等が懸念される。また住宅着工件数が減少を続けており、08年5月には前年同月比▲21.6%、先行指標である住宅建設許可件数も同▲19.9%と、住宅部門の調整が住宅関連消費や住宅投資へマイナスの影響を与える懸念がある。

<財政政策の動向>
  2007年の財政収支はGDP比▲2.7%となり、EUの「安定成長協定」で定めた遵守基準(財政赤字が同3%以内)を06年に続き達成した。ただし、08年春の欧州委員会の見通しでは、08年、09年の財政収支はそれぞれGDP比▲2.9%、同▲3.0%の赤字となっており、07年秋の同委員会の見通しに比べやや悪化するものとなっている。
  政府債務残高は07年GDP比64.2%となり、同協定で定める60%の上限を引き続き上回っている。08年、09年についても、それぞれ64.4%、65.1%と上限を上回る見通し(08年春の欧州委員会)が示されている。


目次][][][年次リスト