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2006年の経済>
   2006年の経済成長率は4.6%となり、05年の4.0%を上回る成長となった。年前半を中心にIT関連財の輸出が好調であったことから、外需が景気をけん引した。しかし年後半にかけては、世界経済の減速やIT関連財を中心とする在庫調整の影響を受け、輸出の伸びが緩やかとなったことから、景気の拡大は緩やかとなった。内需をみると、民間消費は原油高や個人向けクレジットカード債務の急増による金融機関の貸出規制の厳格化から伸び悩んだが、年末にかけて持ち直し、前年比1.5%増となった。また、年前半に減少が続いた民間投資は、年後半にかけてIT業種の投資が活発化したことなどから回復に転じ、通年では同2.1%増となった。
   雇用状況をみると、失業率は低下しており、06年は3.9%と01年以来の低水準となった。また、消費者物価上昇率は、総合については、原油価格や食料品価格の落ち着きから06年通年では同0.6%と低下した。コア消費者物価上昇率は、06年通年で同0.5%と安定的に推移した。

2007年の経済見通し>
   2007年の経済成長率は、IT関連財を中心とした輸出の伸びが緩やかとなるとみられるものの、民間消費等の内需の回復が景気を下支えすることなどから、4%程度と見込まれる(台湾当局見通し4.3%(07年2月時点)、民間機関27社の平均4.0%(07年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年10月時点3.8%)から上方修正された。また、07年は「2015年に向けた経済発展ビジョン−第1段階3年スパート計画(07〜09年)−」(後述)のうち、輸送網や上下水道の整備等の公共事業を予定しており、これらが内需の下支え要因となることが考えられる。

<財政金融政策の動向>
   財政政策については、2006年度の財政収支は3,625億元(GDP比3.1%)の赤字となった。近年景気対策に伴うさまざまな減税措置を実施していることなどから、99年度以降財政赤字が続いている。政府は財政健全化に向け、歳入の状況を見極めつつ歳出規模を極力抑制し、5〜10年以内に財政収支均衡を達成することを目標とし、07年度予算案(審議中)については、歳出の伸びが歳入の伸びを超えないように編成されている。歳出は、国防費が前年比29.5%増加したことなどから同5.9%増の1兆6,638億元、歳入は同9.2%増の1兆5,117億元となり、財政赤字額は同18.7%減の1,521億元(GDP比2.4%)と見込まれている。なお、政府は06年11月に「2015年に向けた経済発展ビジョン−第1段階3年スパート計画(07〜09年)−」を策定し、具体的な目標として06〜15年までの年平均成長率を5%、15年時点の一人当たりGDPを3万米ドル、失業率を4%以下とすることを掲げ、その実現のために産業発展、金融改革、人材育成、インフラ投資、社会福祉の発展の5つの分野を中心とした各種政策に着手している。
金融政策については、インフレ抑制及び実質金利を中立的な水準に引き戻すことを目的として、政策金利(中央銀行再割引率)を04年10月以降、11回にわたり0.125%ポイントずつ引き上げ、07年3月には01年10月以来の高水準となる2.875%とした。


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