<2006年の経済>
2006年の経済成長率は5.0%と05年の4.2%を上回る成長となった。年前半はウォンの増価等にもかかわらず、良好な世界需要を背景にIT関連財や船舶、自動車等を中心に輸出が拡大した。内需については、住宅価格の高騰に対処するため政府が講じた総合不動産投機抑制策を受けて建設投資が冷え込んだものの、民間消費や設備投資は比較的堅調に増加した。一方、年後半は年前半に比べ内外需ともに伸びは緩やかとなった。外需はIT関連財の在庫調整やウォンの増価等の影響を受け、成長に占める純輸出の寄与は前年比でみて縮小した。また、内需も個人消費については、所得の伸び悩みやこれまでの金利の上昇による家計債務負担の増加等を背景に増加は緩やかとなった。
<2007年の経済見通し>
2007年の経済成長率は4%台前半から半ば程度になると見込まれる(政府見通し4.5%程度(07年3月時点)、民間機関27社の平均4.4%(07年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年10月時点4.6%)から下方修正された。
成長を支える要因としては、IT関連財や船舶等の堅調な輸出の伸びのほか、年後半から世界的なIT関連財需要の回復による製造業生産や設備投資の増加が期待される。
下方リスクとしては、世界経済の減速やさらなるウォンの増価による輸出への影響や、原油価格の再高騰に対する物価上昇リスク等が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政政策については、2006年12月に成立した07年度予算は、総支出規模が政府原案から1兆4,000億ウォン削減され、237兆1,000億ウォンとなった。一般会計における歳出予算は前年度比5.2%増の156兆5,400億ウォンで、将来の成長力の確保や国民の基本的なニーズに応えるとして、R&D(研究開発)分野(同9.6%増)や社会福祉分野(同9.6%増)等に重点を置いた配分となった。
金融政策では、韓国銀行は06年2月、6月、8月に政策金利(コールレート翌日物誘導目標水準)をそれぞれ0.25%ポイントずつ引き上げ、4.50%とした。韓国銀行はこの背景として、景気の回復、原油価格の高騰及び一部地域における不動産価格上昇等による物価上昇圧力を挙げていたが、06年9月以降政策金利は据え置かれている。一方、国内不動産価格上昇への期待感や海外資金流入に伴う金融機関の貸出拡大等によりマネーサプライの伸びが拡大しているとして、06年11月には、97年2月以来およそ10年ぶりに預金準備率を5%から7%へ引き上げると発表し、12月23日より実施している。