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タイ経済のこれまで

2006年の経済>
   2006年の経済成長率は5.0%となり、05年の4.5%からやや加速したものの、引き続き緩やかな成長となった。内容をみると、輸出がIT関連財を中心に大幅に増加する一方、輸入は内需減速等により鈍化したことから、純輸出の経済成長に対する寄与が大きくなり、外需を中心とする成長となった。一方、内需をみると、(1)年初から続いた政治的混乱、(2)04年来の数次にわたる金利の引上げ、(3)年前半における消費者物価上昇率の高まり、(4)年後半に発生した洪水被害の拡大等を背景に、05年と比べて個人消費は伸びが緩やかになり民間投資は大幅に減速した。また政府支出についても政治的混乱から大幅に鈍化し、特に10〜12月期には大幅に減少した。経常収支及び貿易収支は05年は97年以降初めての赤字となったが、06年はそれぞれ32億ドル、22億ドルの黒字に転じた。物価動向をみると、消費者物価上昇率は、06年前半には燃料価格の上昇とそれに伴う輸送コスト等の上昇から前年比6%程度で推移したものの、06年後半は燃料価格の落ち着きから同3%程度となった。
   なお、タイでは06年9月19日に政変が発生し、政変以後はスラユット暫定首相が政権運営を行っている。

タイの主要経済指標

2007年の経済見通し>
   2007年の経済成長率は4%台前半になると予測される(政府見通し3.8〜4.8%(07年4月時点)、民間機関9社の平均4.3%(07年4月時点))。民間機関の見通しは半年前(06年10月時点4.4%)と同程度の水準となっている。
   成長を支える要因としては、消費者物価上昇率の落ち着き、金利の低下による個人消費の堅調な推移のほか、政治の安定化による民間投資の改善が期待されることが挙げられる。一方、下方リスクとしては、バーツの高止まりやバーツ高がさらに進んだ場合の輸出の減速が懸念されるほか、今後も不安定な政治状況が長期化した場合の投資の一層の鈍化、治安への不安による観光業への悪影響が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
   2007年度予算は政治的混乱から成立が遅れていたものの、06年12月27日の議会において可決され、歳出は1兆5,662億バーツ、歳入は1兆4,200億バーツで、財政赤字は1,462億バーツ(GDP比1.7%)となった。タクシン前政権からの大量輸送プロジェクトについては予算に計上されたものの、前政権時代の借入金返済を優先するとし、投資的経費は前年度比で160億バーツ増(歳出予算全体の24.3%)にとどまっている。
   金融政策については、タイ中央銀行は06年7月以降、物価上昇の落ち着きから政策金利(14日物レポ金利)を据え置いていたが、内需減速及びインフレ懸念後退を背景として07年1、2、4月に連続して利下げを行った(07年1月より政策金利を翌日物レポ金利に変更し、4月末時点では4.0%としている。)。為替をみると、バーツはドルに対し06年初来大幅に増価しており、中央銀行は06年12月18日、バーツ高の圧力緩和を目的とした短期の資本流入に対する資本規制策を発表した。しかし翌19日の株式市場で約15%の株価の下落が起き、即時一部の規制を緩和した。バーツは07年4月末時点では年初比7.3%の増価となっている。


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