<2006年度の経済>
2006年度の経済成長率は、9.2%となる見込みである(政府見通し(07年2月時点))。四半期の推移をみると、06年4〜6、7〜9、10〜12月期の経済成長率は、各々前年同期比8.9%、9.2%、8.6%と9%前後の高い伸びが続いた。産業別にみると、農林水産業が一桁台で低い伸びとなっているものの、GDPの約60%を占めるサービス業が堅調に推移し、中でも商業・ホテル・運輸・通信部門が同13%台で引き続き高い伸びで推移していることや、製造業が同10〜11%台と06年度に入り3期連続で二桁の伸びとなっていることが景気全体をけん引している。
物価については、インド準備銀行が重視している卸売物価上昇率が一次産品価格等の上昇を受け、06年度通年で同5.4%となり、05年度よりやや加速した。
<2007年度の経済見通し>
2007年度の経済成長率は、8%台前半と見込まれる(民間機関8社の平均見通し8.3%(07年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年10月時点7.3%)に比べ上方修正されている。
成長を支える要因としては、引き続き成長分野として期待されるソフトウェアサービス輸出の拡大や情報関連産業の伸び等が挙げられる。他方、GDPに占める農業の比重が大きく、依然として天候要因に経済状況が左右される懸念があるため、農業部門の生産性改善が課題とされ、また、投資の拡大につながるインフラの整備についても課題として残っている。
<財政金融政策の動向>
財政政策をみると、2007年2月28日に発表された07年度予算案は、第11次5か年計画(07〜11年度)に基づき、農村への配慮と経済成長率の加速を目指し、インフラ整備、農村支援、貧困層支援、製造業支援、教育対策に重点が置かれ、前年度予算比20.7%増の歳出を見込んでいる。また歳入面では、近年の高成長を反映し税収の伸びが堅調であるほか、サービス税の引上げ等の税体系の見直しが図られたことなどにより、07年度も引き続き同17%程度の税収増を見込んでいる。財政収支をみると、財政赤字の削減が課題となっているため、政府は財政責任法に基づき中央政府財政赤字を04年度以降毎年GDP比0.3%相当額ずつ削減するよう求められており、07年度予算においても同法に従った赤字削減が盛り込まれ、赤字額はGDP比3.3%と06年度の同3.7%(実績見込み値)から改善するとされている。
金融政策については、インド準備銀行は04年10月以来利上げを継続しており、07年1月、3月にレポレートをそれぞれ0.25%ポイントずつ引き上げた(リバースレポレートは据え置き)後、4月は政策金利の据え置きを決定した(翌日物レポレートは7.75%、リバースレポレートは6.00%)。インド準備銀行は、景気が拡大している中、インフレ圧力について注視する一方、これまでの利上げの効果等により、07年度の経済成長率及び卸売物価上昇率について各々8.5%、5.0%と06年度より鈍化するとの見通しを示している。