<2006年の経済>
2005/2006年度(05年7月〜06年6月)の経済成長率は2.9%となり、前年度の2.7%に引き続き景気は拡大している。06年前半は、天然資源関連分野の世界需要増による設備投資の増加や、良好な雇用・所得環境を背景とした個人消費の伸びが成長を支えた。年後半は、引き続き良好な雇用情勢や、所得税減税等により個人消費を中心に成長をみせたものの、7〜9月期は年初から3度にわたる政策金利(キャッシュレートの誘導目標水準)の引上げや、工業部門を中心とした労働需給のひっ迫による企業コストの上昇等により設備投資が伸び悩みをみせるなど、成長率は前年同期比2.3%となった。10〜12月期は持ち直しがみられ同2.8%の成長となった。
<2007年の経済見通し>
2007年の経済成長率は、3%程度になると見込まれる(政府見通し2.5%(06/07年度)、民間機関23社の平均2.9%(07年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年10月時点2.8%)と同程度となっている。
06年と同様に、底堅い内需と天然資源関連分野を中心に輸出が引き続き好調になると期待されるものの、06年の大規模なかんばつによる農業部門の生産の減少や、過去10年で最も高い水準となっている政策金利が投資や消費に与える影響等が懸念される。かんばつによる影響は、政府推計によると06/07年度の成長率を0.6%押し下げるとしている。
<財政金融政策の動向>
財政収支は、2001/02年度の赤字を除くと1997/98年度以降連続して黒字を計上しており、07/08年度予算では106億豪ドル(GDP比1.0%)の黒字予算となっている。
07/08年度予算の特徴として、歳入面では向こう4年間で315億豪ドルの所得税減税が盛り込まれている。今年度で5年連続となる所得税減税について政府は、特に低所得者やパートタイム労働者の労働意欲を促進するためとしている。歳出面では50億豪ドルを拠出して高等教育研究施設のインフラ整備等に関する基金を創設するなどの教育関連や、育児手当の支給率を10%引き上げるなどの育児支援関連のほか、陸上輸送インフラ投資や環境対策、農村部の支援等に重点が置かれている。
金融政策については、オーストラリア連邦準備銀行は、05年3月以降据え置いてきた政策金利を06年5月、8月、11月と3度にわたり0.25%ポイントずつ引き上げ、6.25%とした。利上げの背景として、世界経済の拡大等により一次産品価格が高水準で推移していること、労働市場の引締まりや高水準の設備稼働率等による国内需給のひっ迫等が物価上昇圧力をもたらしていると指摘している。