第1章 2007年の経済見通し |
3.ヨーロッパ4か国
(ヨーロッパ4:ドイツ、フランス、イタリア、英国)
ヨーロッパ4か国の景気は06年に回復力を強めた後、07年に入っても引き続き堅調な回復を続けている。需要項目では、概して固定投資が好調であるとともに、個人消費は英国、フランスで堅調であるほか、ドイツでも回復している。07年の経済成長率は、2.2%程度と前年の2.4%からやや減速するものの回復が続くとみられる。
●ユーロ圏は、回復が続く
ユーロ圏では06年の成長率は投資や消費の加速から2.8%と05年より伸びを高めた。07年の成長率は、2.3%程度とやや減速するものの景気回復が続くと見込まれる。
ドイツでは、企業部門を中心に設備投資や輸出主導での成長が続き、06年の成長率は2.8%となった。数年来、弱い動きを続けていた消費は、06年後半から緩やかに増加しているが、一部には07年1月からの付加価値税率引上げ(16→19%)に伴う変動もみられる。07年は、引き続き企業部門がけん引するものの、2.1%程度に減速すると見込まれる。ただし、付加価値税率引上げの影響を受ける個人消費等の内需が堅調に回復すれば、成長率はこれを上回る可能性もあるとみられる。
フランスでは、外需はマイナスの寄与となっているものの、引き続き個人消費が成長をけん引し、06年の成長率は2.2%となった。失業率が24年ぶりの水準まで低下するなど雇用環境も良好なことから、引き続き個人消費が堅調に推移し、07年も前年並の2.1%程度の成長が見込まれる。
各国の物価については、前年同期比でみると、1年前のエネルギー価格の急上昇と足元の低下とのベース効果の結果として、月々の振れが大きくなっているが、ユーロ圏全体の消費者物価でみると、07年に入って2%をやや下回る上昇(4月前年同月比1.9%)であり、おおむね安定している。07年の消費者物価上昇率は前年比2.0%程度と見込まれる。
●堅調な景気回復が続く英国
英国では、06年を通じて、個人消費や固定投資等の内需を中心に堅調な景気回復が続いた。良好な雇用環境や住宅価格の上昇等によって個人消費が下支えされるとともに、金融業を中心に好調なサービス部門にけん引され、企業の設備投資も伸びた。06年の成長率は2.8%となり潜在成長率近傍となった。07年は2.6%程度の成長が見込まれている。
英国では06年後半から物価上昇が加速した。公共料金の引上げ等の影響もあり07年3月には消費者物価上昇率が前年同月比3.1%にまで達し、インフレ目標(2.0%)から1%を超えて乖離したことを受け、BOE総裁は財務大臣あてにその背景等を記した公開書簡を提出した(4)。こうしたことを背景に、5月のBOE金融政策委員会において政策金利の引上げが決定された。