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5 台 湾                Taiwan

台湾経済のこれまで

<2004年の経済>
 2004年の経済成長率は、5.7%となった。民間投資は電子産業が好調であることから、平均して30%近い高い伸びを示した。ただし前年の重症急性呼吸器症候群(SARS)による落ち込みの反動があった4〜6月期以降、拡大のペースが緩やかとなっている。IT需要の世界的な鈍化や中国当局の引締め措置を契機として、年後半から下降傾向をたどり始めている。また、台湾政府の厳しい財政状況を反映して公的資本形成が前年比マイナス20.5%と大きく落ち込んでいる。2004年12月に実施された立法院(日本の国会に相当)選挙では、国民党・新民党の野党連合が過半数を占める結果となり、行政府と立法府の間でねじれの構図が生じている。このため台湾独立色の強い法案を可決させるのが困難となることから、中台関係の緊張度が大幅に高まる可能性は選挙前と比較して低下したといえる。雇用状況をみると、失業率は低下傾向にあるものの、4%台と高い水準で推移している。また、消費者物価上昇率は、2003年まで3年間デフレ傾向にあったものの、2004年に入って、台風による食料品の高騰や石油価格の上昇を受けプラス(8月は前年同月比2.5%)に転じた。しかし、昨年10月以降の台湾ドルの増価により、輸入物価の下落を通じて再び物価の下方圧力が高まっている。

台湾の主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年の経済成長率は、4%程度と見込まれる(台湾当局見通し4.2%、民間機関28社の平均4.1%(2005年5月時点))。2005年前半は、世界的なIT需要の減速や、中国経済の拡大のペースが2004年より緩やかなものとなると予想されることから、輸出の減速を通じて成長率は鈍化すると見込まれる。したがって、民間投資も2004年の伸びを維持する可能性は低いと考えられる。ただ年後半に世界的なIT需要が回復すれば、徐々に輸出や生産も徐々に持ち直していくと見込まれる。

<財政金融政策の動向>
 財政面では、財政赤字が続いている。2005年度予算においては、財政収支均衡に向けて、一般経常支出については極力抑制し、重点政策へ資金投入することとしている。2005年度の歳出は前年比3.9%増の1兆4,027億元で、教育科学文化、社会福利、国防、経済発展等全ての分野での支出が増加している。その中でも教育科学文化は同19.4%増と最も高い伸びとなっているが、これは教職者、軍人等の待遇改善措置が寄与したものである。一方、歳入は同2.4%増の1兆6,356億元を見込んでおり、その結果、財政赤字額は2004年度(2,478億元)よりやや減少し2,329億元となる見込みである。「挑戦2008国家発展重点計画」(経済成長率5%、失業率4%以内等を目標とする2002年に打ち出された6か年計画)については、既に2002年から2004年間に4,985億元が拠出されているが、2005年には新たに1,874億元が投じられることとされており、そのうち公共投資分として1,022億元が計上されている。
 金融政策については、金融緩和が継続された結果、公定歩合は2003年6月以来、1.375%と過去最低水準で推移していたが、このところの景気拡大を受けて、2004年10月に1.625%に、12月に1.75%に引き上げられた。


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