(備考)FRB、データストリーム、ブルームバーグ
<株価の動向>
2003年世界的に上昇した株価は、2004年に入った後も上昇基調にあった。しかし、既に高水準にあったエネルギー価格が2004年に入ってからも上昇を続けたことにより、景気に対する影響を懸念する見方が徐々に強まり、株価は上昇基調から横ばいへと移った。
6月下旬には、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引上げが開始された。金利上昇が株価に影響するとの懸念も持たれたが、FRBが緩和的な金融政策の解除は慎重なペースで行うことができるという姿勢を繰り返し表明したことで、今回の利上げ局面は歴史的な低金利から中立的な金利への復帰とみる見方が株式市場に広まり、株価への下押し圧力は限定的なものになった。
秋以降は、エネルギー価格が反落したことや企業部門の好決算等を背景に株価は上昇に転じ、NYダウは12月下旬には年初来の高値となった。
しかし2005年に入ってからは、原油高を背景としたインフレ観測や景気腰折れ懸念が一部に生じ、相場の上値は重くなっている。
<金利の動向>
FRBは、2004年6月下旬に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利の引上げを行った。FRBは以後、全てのFOMCにおいて毎回0.25%ポイントずつ利上げを行い、2005年5月までで8度にわたり計2.00%ポイントの利上げが行われた。
FRBの政策金利引上げに連動してアメリカでは短期金利が上昇した。一方で、長期金利は利上げ開始直前となる5月をピークとして、緩やかな低下を続け、利回り曲線は平坦化する方向へ形を変えていった。こうした、短期金利上昇局面における長期金利の低下は異例であるといえ、グリーンスパンFRB議長は2005年2月の議会証言でこのような状況を「謎」と表現した。
<為替の動向>
2002年に始まったドルの減価基調は2004年も続いた。この要因としては、アメリカにおける財政収支赤字と経常収支赤字がともに過去最大となるなか、「双子の赤字」に対し、持続可能性の面で懸念が持たれたことが挙げられる。しかし2005年に入ってからは、米国景気の底堅さ、FRBの金利引上げによる金利格差等を背景にドルは増価に転じている。
一方、グリーンスパンFRB議長は2004年11月中旬の講演において、「アメリカの経常収支赤字の規模からみて、いずれかの時点でドル資産への投資意欲の減退が起こるとみるのが一般的だ」と発言した。2004年のアメリカへの証券投資額が純増となるなど、現時点ではドル資産への投資意欲は失われておらず、経常収支赤字のファイナンスに支障は出ていないと考えられるが、今後の持続可能性の面で懸念が残っている。
ユーロは、主に対ドルで導入以来の最高値を更新するなど、2004年は増価基調で推移した。しかし2005年以降は、景況感の悪化や政治的な不透明要因から減価に転じている。