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18  イギリス    United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

イギリス経済のこれまで

<2003年の経済>
 2003年の経済成長率は2.2%となった。イラク戦争による先行きの不透明感から個人消費の伸びが鈍化したことなどにより、年初に景気は減速したが、その後持ち直し、年後半はトレンドを上回る成長となった。良好な雇用環境や歴史的な低金利、住宅価格上昇による資産価値の増加を背景に個人消費や住宅投資が堅調に増加したこと、公共サービス充実のため政府消費の増加が続いたことが景気回復を下支えした。

<2004年の経済見通し>
 2004年の経済成長率は、2%台後半となる見込みである(民間機関27社の平均2.9%、2004年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点2.5%)に比べて上方修正されている。個人消費の緩やかな増加が見込まれることに加え、世界経済の回復に伴う輸出の増加や、企業の財務状況の好転による設備投資の増加が見込まれることから、成長はよりバランスのとれたものになる見通しである。失業率は引き続き低水準で推移する見込みである。
 下方リスクとしては、家計債務が増加しているなか、住宅価格の急落や金利の上昇があれば消費が抑制される可能性があること、ユーロ圏の景気回復が当初見通しより弱くなった場合やアメリカの双子の赤字の拡大を背景とした対ドルでのポンド高が進んだ場合、輸出に悪影響が及ぶおそれがあることなどが挙げられる。

イギリスの主要経済指標

<財政金融政策の動向>
 2003年の財政収支は、税収の減少や、教育、保健・社会保障、交通等公共サービスの充実を目的とした歳出の増加により、GDP比3.1%の赤字となり、赤字幅は2002年の1.5%から拡大した。今後の財政収支については、2004年3月に発表された2004年度予算案によると、景気の回復により税収の増加が見込まれるため、赤字は徐々に減少する見通しとなっている。
 金融政策については、イングランド銀行は2001年2月以降、政策金利の引下げを続けていたが、2003年11月に3年9か月ぶりに引き上げ、さらに2004年2月に、景気回復が進んでいることなどから政策金利を0.25%ポイント引き上げ、4.00%とした。また、2003年12月、政府はイングランド銀行に対して示すインフレターゲットについての基調インフレ率を従来のRPIX(住宅ローン金利を除く小売物価)からCPI(EU基準のHICPと同じ)に変更し、インフレターゲットをCPIで2.0%(従来はRPIXで2.5%)に変更した。
 ユーロ参加については、政府は、2003年6月にユーロ参加のための経済条件は満たされていないとして、参加の前提となる国民投票の先送りを表明した。その後、2004年3月に発表した2004年度予算案の中で、現時点において5つの経済テストの再評価を行わず、2005年春の予算案発表の時期に、状況の進展について再検討すると表明した。


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