目次][][][年次リスト

5  台 湾    Taiwan

台湾経済のこれまで

<2003年の経済>
 2003年の経済成長率は、3.2%となった。SARSの流行で4〜6月期の成長率はマイナスになったものの、好調な輸出が牽引し、年後半に景気は回復した。内需をみると、SARSの反動と雇用環境改善等によるマインドの好転で、個人消費は緩やかに拡大した。また、10〜12月期になると、景気回復に従って投資意欲が高まり、民間投資も持ち直した。一方、外需も好調で、世界的なIT需要の増加や、中国、アメリカ等世界経済の回復によって、主力の電子製品を中心に輸出は拡大した。好調な輸出を背景に、鉱工業生産も堅調に増加した。雇用状況をみると、失業率は低下傾向にあるものの4%台で推移している。また、消費者物価上昇率はマイナスとなっており、デフレが続いている。

台湾の主要経済指標

<2004年の経済見通し>
 2004年は緩やかな景気拡大が続き、4.7%程度の成長になると見込まれる(台湾当局見通し4.7%、民間機関28社の平均4.7%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点3.8%)に比べて上方修正されている。
 成長を支える要因としては、引き続き輸出が成長を牽引する見込みである。先行指標となる輸出受注は2003年後半から高い伸びとなっており、中国の高成長や世界的な景気回復を受け、輸出は順調に増加する見込みである。輸出や生産の増加に伴い、民間投資の増加も見込まれており、既に幾つかのIT分野の大規模投資が発表されている。好調な消費者マインドを受け、個人消費も緩やかに増加する見込みである。
 下方リスクとしては、IT製品需要が一巡し、IT関連輸出が停滞する可能性が考えられる。

<財政金融政策の動向>
 財政面では財政赤字が続いている。2004年度予算では、財政収支均衡に向けて、一般経常支出については極力抑制し、重点政策へは資金投入するとしている。歳出は前年比3.9%増の1兆5,195億元で、教育科学文化、社会福利、国防、経済発展等全ての分野で支出が増加している。特に経済発展支出は同9.6%増と最も高い伸びとなっており、景気刺激型の予算となっている。一方、歳入は同2.4%増の1兆3,347億元を見込んでおり、その結果、財政赤字額は2,574億元となる見込みである。
 中期的には、「挑戦2008国家発展重点計画」という6か年計画を立てており、経済成長率5%、失業率4%以内等の目標を掲げ、経済発展、人材育成、生活向上に向けて総額2兆6,500億元の投資計画を提起している。その他、新10大建設特別予算案が提案されており、景気回復に向けて公共建設を拡大するため、今後5年間で5,000億元の特別予算が組まれる予定である。
 金融政策については、引き続き金融緩和を行っており、公定歩合は1.325%と過去最低が続いている。


目次][][][年次リスト