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4  韓 国    Republic of Korea

韓国経済のこれまで

<2003年の経済>
 2003年の経済成長率は、3.1%となった。2002年の景気拡大の後、2003年に入ると民間消費や機械設備投資が減少したことなどから、実質GDP成長率は1〜3月期に前期比年率1.1%減、4〜6月期も同0.2%減と2期連続でマイナス成長となり、景気は後退した。年後半についても、輸出が堅調に推移しているなど明るい材料もあるが、消費に力強さが戻らず、年全体の成長率は好調だった2002年と比べ、大幅に鈍化した。

<2004年の経済見通し>
 2004年には景気の回復が進み、5%前後の成長が見込まれる(政府見通し5%、民間機関28社の平均5.0%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点5.2%)に比べて下方修正されている。
 IT関連製品を中心に、中国やアメリカ向け輸出の堅調な増加が成長に寄与し、やがて消費や投資を押し上げるものと予測される。しかし、労使関係が再び悪化すれば生産や消費等に悪影響を及ぼす可能性もある。また、地政学的リスクの存在等下方リスクも存在しているため留意が必要である。

韓国の主要経済指標

<財政金融政策の動向>
 財政については、2003年に引き続き2004年も、景気不振で困難を経験する階層に対する支援と景気活性化に重点が置かれている。なかでも最近の雇用情勢の悪化にかんがみ、投資活性化を通じた雇用の創出が打ち出されている点が特徴的である。
 主な内容として、(1)雇用増大特別税額控除(新規採用時に一人当たり100万ウォンを控除するもの)、(2)特別消費税の原則廃止(廃止は早くて2005年度からの予定で、2004年度は乗用車、エアコン、温風器、テレビ、ゴルフクラブ等レジャー用品、宝石・高級時計等の対象品目の税率引き下げを3月末から実施予定)、(3)賃金ピーク制導入企業に対する税金特典(賃金ピーク制は勤労者が特定年齢に到達したときに賃金を減らすもので、その分新規雇用に活用するもの)、などが挙げられる。また、高齢者・退職者等に対する貯蓄税制支援拡大等、景気不振で困難を経験する階層に対する支援も行う。
 金融政策については、2003年に景気対策の一環として、韓国銀行は5月と7月にコールレートの誘導水準をそれぞれ0.25%ポイントずつ引き下げ、コールレートの誘導水準は3.75%となっていたが、これまでのところ同水準で据え置かれている。
 2004年〜06年の3年間のインフレターゲットは、コアCPI(CPI から変動の大きい食料品及びエネルギーを除いたもの)で2.5%〜3.5%に設定されている。


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