<2003年の経済>
2003年の経済成長率は4.2%となり、政府見通しの4.0%をわずかに上回った。民間消費が前年比2.1%の増加と成長の牽引となった。当初は、SARSの流行、バリ島やジャカルタでのテロ事件等が観光産業に影響を与え、消費者マインドや企業マインドを低下させるなど政府見通しの達成が危ぶまれた。しかし、所得水準の上昇、低金利やインフレ率の低下は、自動車・二輪車、家電等の耐久財の購入を促進するなど、個人消費を後押しした。投資は内外企業の投資回復の動きが鈍くなっていることなどから、前年比0.7%の伸びにとどまった。輸出(通関ベース)は、1〜3月期に石油・ガス輸出が大幅に伸びたが、その後は伸びが鈍化しており、2003年は同6.8%の伸びとなった。
<2004年の経済見通し>
2004年は4.5%程度の成長になると見込まれる(政府見通し5.0%、民間機関9社の平均4.3%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点4.4%)に比べ下方修正されている。
成長を支える要因としては、物価の安定、金利の低下により引き続き民間消費が増加を続けることが挙げられる。また、世界経済の回復により輸出が増加基調で推移すると思われる。
下方リスクとしては、7月に大統領選挙が行われることから、選挙に伴う社会情勢の混乱を警戒して、投資が控えられることが懸念される。
<財政金融政策の動向>
財政収支は長期にわたって赤字が続いている。2004年度予算では、財政赤字は、28.6兆ルピア(GDP比1.2%)と見込まれている。財政赤字を賄うための資金については海外からの借入れと新規国債の発行等により調達される。世界銀行を議長とし先進諸国から成るインドネシア支援国会合(CGI)は、2003年12月、28億ドルの援助をインドネシアに供与することとした。この援助額は、2003年度予算のためにCGIが供与を約束した27億ドルを上回る。これは、2003年12月末でIMFのプログラムの期間が終了し、債権国のパリ・クラブからの債務償還軽減の便宜を得られなくなることなどへの配慮によるものである。
金融政策については、インフレの低下と為替の安定を背景に緩和基調が続いている。中銀証券(SBI)金利(3か月物)は2002年末(13.11%)以降低下しており2004年2月には7.70%まで低下している。通貨ルピアは、おおむね落ち着いた動きで推移しており、2004年4月中旬現在、1ドル=8,661ルピアとなった。