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16  フランス    French Republic

フランス経済のこれまで

<2003年の経済>
 経済は2000年をピークに減速傾向にあり、2003年の経済成長率は前年比0.5%となった。年前半は世界経済の回復の遅れやユーロ高の影響により輸出、設備投資ともに減少が続いたが、個人消費は比較的堅調に増加して成長を支えた。年後半以降は、アメリカ経済を始めとする世界経済の回復から輸出が持ち直し、企業の設備投資も回復し始めた。

<2004年の経済見通し>
 2004年は1%台後半の経済成長が見込まれる(政府見通し1.7%、民間機関の見通し1.8%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは半年前(2003年10月時点1.7%)に比べ上方修正されている。景気回復を支える要因としては、世界経済の回復による輸出の増加や、それに伴う企業の設備投資の回復が続くことなどが挙げられる。
 下方リスクとしては、世界経済の回復スピードの遅れやユーロ高の加速により輸出の伸びが抑制されること、企業景況感の悪化による設備投資の回復の遅れなどが挙げられる。また、景気刺激を目的として実施されている減税規模3%の所得税減税が個人消費の伸びを支えることが期待されるが、厳しい雇用情勢や物価上昇等が消費者マインドに悪影響を与え、消費の伸びを抑制する可能性がある。

フランスの主要経済指標

<財政政策の動向>
 2003年の財政収支は、景気の減速による税収の減少や社会保障会計の赤字拡大の影響からGDP比4.1%の赤字となり、昨年の同3.2%から大きく拡大し、2年連続してユーロ圏の「安定と成長の協定」で定める3%の上限を超えた。2004年度予算では、財政赤字は同3.6%を見込んでおり、3年連続して上限を超える見通しとなっている。また、政府債務残高も同63%となり同協定で定める60%の上限を上回った。
 EU経済財務相理事会は「安定と成長の協定」に基づき、フランス政府に対して過度の財政赤字是正のための「勧告」(2003年6月)を行った。しかし、勧告に応じた効果的な行動はとられず、欧州委員会はフランスに対する赤字削減の「警告」をするよう理事会に求めたが、2003年11月の理事会はこれを否決し、制裁手続の一時停止が決定された。この決定に際し、政府は構造的財政赤字の削減幅を当初の0.7%から0.8%に拡大することや、2005年には財政赤字を3%以下にすることなどを約束している。
 なお、2003年の年金改革に続き、2004年には社会保障制度改革が予定されており、膨大な財政赤字を抱える医療保険制度の2007年の財政均衡を目指している。これらの改革は長期的に財政健全化に貢献するものと考えられる。


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