<2003年の経済>
2002/2003年度(2002年7月〜2003年6月)の経済成長率は2.9%となった。干ばつの影響により農作物の生産高が伸び悩んだことに加え、豪ドル高が進んだことにより輸出が減少した。しかし、失業率が90年以来の水準まで低下するなど雇用情勢の改善がみられたことや、さらに低金利や良好な消費者マインド等から個人消費を中心として内需が堅調に増加し、成長を支えた。
<2004年の経済見通し>
2004年の経済成長率は、3.5%程度となる見込みである(政府見通し3.75%(2003/2004年度)、民間機関24社の平均3.7%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点3.4%)に比べて上方修正されている。
成長を支える要因としては、好調な企業活動を背景に、さらなる雇用情勢の改善が見込まれることや、依然高い水準を保つ消費者マインドから、今後も消費の堅調な伸びが期待されることが挙げられる。
下方リスクとしては、公定歩合の引上げによってこれまで景気を牽引してきた住宅消費・投資がやや減速する可能性があり、内需の拡大がやや緩やかなものになるおそれが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政収支は97/98年度以降4年連続で黒字を達成していたが、2001/2002年度は9.8億豪ドル(GDP比0.1%)の赤字となった。しかし、2002/2003年度は、法人税収が増加したことなどから当初見込額39億豪ドル(GDP比0.5%)を大幅に上回る75億豪ドル(GDP比1.0%)と再び黒字となった。2003/2004年度については、当初22億豪ドル(GDP比0.3%)の黒字を見込んでいたが、良好な経済環境から引き続き税収増が見込まれることから、2003年12月に発表された中期見通しで、46億豪ドル(0.6%)の黒字へと修正している。
政府純債務残高は年々減少しており、2002/2003年度末には297億豪ドル(GDP比3.9%)と当初見込額324億豪ドル(GDP比4.3%)より減少した。2003/2004年度末については当初298億豪ドル(GDP比3.7%)を見込んでいたが、中期見通しでは233億豪ドル(GDP比2.9%)とさらに減少することが見込まれている。
2003/2004年度の予算は、国防軍増強やテロ対策に重点が置かれている。歳入については、国内経済の堅調な成長による増収が見込まれている。オーストラリア政府は米同時多発テロ以来、治安対策の追加費用や国内安全保障の増強等防衛治安分野に重点を置いており、引き続き来年度予算案(2004/2005年度)にも盛り込まれることになっている。
金融政策については、オーストラリア準備銀行が、2003年11、12月と2か月連続でキャッシュレートの誘導目標水準を0.25%ポイントずつ引き上げ、5.25%とした。同行は今回の利上げの理由として、海外経済の回復、国内の旺盛な個人消費と企業投資等を挙げている。
為替レートについては、2月半ばに1豪ドル=0.79ドル台をつけ上昇基調にあったものの、これ以降やや落ち着きをみせており4月中旬現在は1豪ドル=0.74ドル台で推移している。