<2003年度の経済>
2003年度の経済成長率は、6.5%〜7.0%(中央銀行見込み)と前年度の4.3%よりも大きく上昇した。成長率上昇の背景として、製造業、サービス業が好調なことに加え、2002年度の経済不振をもたらした天候不順(干ばつ)が解消し、農業生産が回復したことや、農業生産の回復に伴う農村での購買力の向上から個人消費が活発化したことなどが挙げられる。
製造業生産の内訳をみると、財別では資本財と非耐久消費財を中心に増加した。業種別にみると、輸送機器、鉄鋼、セメント、繊維等が堅調な伸びを示した。
サービス業の内訳をみると、貿易、ホテル、運輸通信、金融、不動産業等が増加した。
<2004年度の経済見通し>
2004年度の経済は、ソフトウェア産業等サービス部門の好調と製造業部門の生産増加、及び2002年度に天候不順により減少となった農業部門の生産が引き続き堅調であると予想されることから6〜7%の成長が見込まれる(民間機関6社の平均見通し6.7%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点6.2%)と比べ上方修正されている。
下方リスクとしては、規制緩和等構造改革の遅れによる外国からの投資の停滞や新規産業の発展の遅れが挙げられる。また財政赤字削減が当初予定ほど進捗しない場合、本来重点的に配分されるべきインフラ開発やハイテク産業の振興などへの支出が抑制される懸念もある。
<財政金融政策の動向>
財政政策をみると、2003年度予算(実績見込み)は、歳入(税収)が前年度実績比17.6%増(当初予算比1.8%増)、歳出が同18.5%増(当初予算比8.1%増)となった。これを受け、財政赤字のGDP比(目標値)は、4.4%に設定された(2003年度は目標値5.6%、実績見込み値4.8%)。予算の重点項目としては、雇用創出、貧困撲滅、インフラ整備、財政再建、農業改革、製造業強化等となっている。
金融政策をみると、中央銀行は昨年11月に発表した対外商業借入れに対する規制強化策の一部を見直し、緩和することを発表するなど、再び緩和策をとっている。対外商業借入規制緩和の主な内容は、(1)5億ドル以下で、返済期間が5年以上の借入れは自動承認、(2)2,000万ドル以下で、返済期間が平均3〜5年の借入れは自動承認、(3)使途制限の廃止(不動産、株式投資以外以外)、(4)上乗せ金利幅制限の緩和(2〜3.5%)などである。これらは製造業の低利資金調達を容易にするものであるが、金利等に統制を加えているなどまだ不十分との見方もある。