第2章 2024年後半の世界経済の動向(付注2-1)
付注2-1 住宅取得能力指数の試算について
1.概要
アメリカにおける住宅取得能力指数(Housing Affordability Index:HAI)の2024年12月~2026年12月までの値を、一定の仮定の下で試算する。
2.データ出所
全米リアルター協会、FRB、米連邦住宅貸付抵当公社
3.全米リアルター協会による住宅取得能力指数の計算方法
中古住宅価格中央値をMEDPRICE、住宅ローン金利をIRとしたとき、住宅価格の2割を頭金として支払うことを仮定すると、住宅を購入した際の毎月の支払額PMTは以下のとおり。

家計における毎月の収入に対する住居費の支払いは、25%が妥当であると仮定したとき、住宅の購入に見合う家計所得をQINC、家計所得中央値をMEDINCとすると、住宅取得能力指数HAIは以下のとおり。

4.住宅取得能力指数の先行きの試算
中古住宅価格中央値MEDPRICE、住宅ローン金利IR、家計所得中央値MEDINCのそれぞれについて、以下の仮定をおいた上で、住宅取得能力指数HAIの先行きの試算を行った。
(1)中古住宅価格中央値MEDPRICE
中古住宅価格中央値は、上昇ペースが加速(年率6.2%)、または、鈍化(年率2.4%)すると仮定した(図1)。

(2)住宅ローン金利IR
まず、FF金利と住宅ローン金利(30年物固定)について、両者の関係を以下の推計式で推計した。

IRは住宅ローン金利(30年物固定)、FFRはFF金利181、β0,β1はパラメータ、εは誤差項。推計期間は2000年1月~2024年12月、なお、FF金利誘導目標範囲が0.00%~0.25%となっていた2008年12月~2015年11月、2020年3月~2022年2月は除外した。最小二乗法による推計結果は以下のとおり。

FF金利と住宅ローン金利(30年物固定)の関係は、図2(1)のとおり。
なお、FOMCによる見通し(2024年12月)では、FF金利が2025年末に3.9%、26年末に3.4%まで低下していくことが示されたため、本試算においては上記推計を用いて、住宅ローン金利は26年末にかけて6.0%まで緩やかに低下していくと仮定した(図2(2))。

(3)家計所得中央値MEDINC
家計所得中央値は2023年以降のトレンドに沿って増加していくことを仮定した(図3)。
