38 Lama and Rabanal (2012)のように、英国がユーロを導入していれば取引コストの低下を通じて貿易活動が活発になり、経済厚生が増加したと指摘する分析もある。しかし、同様の状況にありながらスイスの貿易量が拡大している点にかんがみれば、英国とスイスの貿易動向に及ぼした影響としては、取引コストよりも為替変動や競争力の影響が強かったとみられる。また、Lama and Rabanalも、後述するとおり、債務危機の影響を加味すれば英国のユーロ圏参加は経済厚生に対して負の影響を及ぼしていたと指摘している。