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第2節 アメリカ経済

 アメリカ経済は、2009年6月より景気回復局面に移行した後、堅調な回復を続けたが、11年に入ると、その回復テンポが大きく鈍化した。雇用の回復の遅れなどを背景にGDPの約7割を占める消費が鈍化したことに加え、住宅市場の低迷、州・地方財政の悪化による政府支出の減少等が、景気回復の足を引っ張っている。

 財政政策については、大統領選挙を睨んだ与野党の対立が激化する中、連邦債務の法定上限引上げを巡って混乱し、11年8月、史上初めて米国債が格下げされる事態となった。2011年予算管理法の制定により、議会において財政再建に向けた協議が進められたが、両党の主張の隔たりを埋めることができず協議は決裂した。

 また、金融政策については、景気低迷を背景に、金利水準へのコミットメントやツイスト・オペを実施するなど新たな措置を行っているものの、いわゆるゼロ金利政策下において利下げの余地は限られており、インフレに対する懸念の声も聞かれる中で、政策の舵取りが難しくなっている。当面、財政・金融政策ともに、難しい政策運営が続く見通しである。

 本節では、11年春以降の経済動向とその背景・要因を整理・分析するとともに、アメリカ経済の先行きについて考察する。

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