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第1章 減速する世界経済、狭まる政策余地

 2008年9月のリーマン・ショック以降の世界金融危機から回復を続けてきた世界経済が減速しつつある。その一方で、財政・金融政策の面ではいずれにおいても、政策余地が狭まっている状況となっている。

 本章では、まず第1節において、世界金融危機後、アジア等新興国のけん引によって回復を続けてきた世界経済が減速しつつある現状を概観する。第2節では、主要先進国が金融危機の後遺症である財政不安に苦しみ、財政再建が喫緊の課題となっている現状を、第3節では、金融政策の観点から、緩和的にせざるを得ない先進国と、引締めを続けざるを得ない新興国1の現況を概観する。そして、第4節において、これまでみてきた概況を踏まえて、今後の政策運営に係る論点を抽出し、総括する。最後に、第5節で世界経済の今後の見通しとリスクについて分析する。


1 以下では、途上国の中でも、特にG20に参加する中国やインド等を中心に、高い経済成長を遂げている国々を「新興国」と呼ぶ(凡例参照)。 
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