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11 インド                 India

インド経済のこれまで

<2008年度の経済>
  2008年4〜9月期の経済成長率は前年同期比7.8%となり、景気は減速している。四半期別にみると、経済成長率は、08年4〜6月期前年同期比7.9%、7〜9月期同7.6%と伸びが鈍化しており、08年度の経済成長率は7%台となると見込まれる(中銀見通し7.5〜8.0%(08年10月時点)、民間機関4社の08年の見通し平均7.2%(08年12月時点))。民間機関の見通しは、08年4月時点の7.9%から下方修正となっている。4〜9月期について産業別でみると、第3次産業は前年同期比9.8%と高い伸びを維持しているものの(07年度前年比10.8%)、製造業が同5.3%と比較的大きく鈍化している(07年度同8.8%)。また、全就業人口の約60%を占める農業も同2.9%と鈍化している。需要面からみると、輸入が増加し外需がマイナスに寄与したが、内需については消費、投資ともに伸びが鈍化したものの、投資が比較的高い伸びを維持した。しかし、その後も、10月に、輸出、鉱工業生産の伸びが減少に転じるなど、更なる景気の減速懸念が強まっている。物価については、インド準備銀行(中央銀行)が重視している卸売物価上昇率は、一次産品価格等の上昇から07年12月以降上昇し、08年半ばには12%台まで高まったが、8月以降は低下傾向となり、10月には前年同月比8.3%となっている。

インドの主要経済指標

<2009年度の経済見通し>
  2009年度の経済成長率は、7%を下回ると見込まれる(民間機関4社の09年の平均見通し6.7%(08年12月時点))。世界経済が減速を強める中、輸出の伸びが更に大きく減速し、景気を下押しすることが見込まれる。また、08年半ばまでの金融引締め政策の効果に加えて、近年の高成長を背景に海外から流入した資金が08年に入り大きく流出に転じたことなどにより国内の資金需給に逼迫がみられることから、投資、消費等の内需が今後鈍化していくことも考えられる。こうしたことから、今後も経済は更に減速していくものとみられる。また、08年11月末に発生したムンバイでの大規模なテロの発生による直接投資等への影響についても留意する必要がある。

<財政金融政策の動向>
  財政政策をみると、財政赤字の削減が課題となっている。中央政府は、2004年度以降、財政赤字を毎年度GDP比0.3%相当額ずつ削減し、09年3月末までにGDP比で3.0%に引き下げることとしており、07年度の財政赤字はGDP比2.8%(暫定値)と目標を達成した。08年度中央政府予算(予算案ベース)においては、歳出の伸びが前年度比5.9%増、歳入は同9.2%増、財政赤字はGDP比2.5%が見込まれていたが、景気減速への対応として、政府は12月7日に最大2,000億ルピー(GDP比約0.5%)規模の追加支出を内容とした景気刺激策を発表し、景気刺激のために財政赤字が当初目標から拡大することも許容する姿勢を示している。
  金融政策については、インド準備銀行(中央銀行)は、04年以降引締めスタンスをとっており、国内の物価上昇や過剰流動性等に配慮した政策運営を行ってきたが、景気に減速が見え始めたことから、08年10月以降、金融政策を緩和スタンスに転じている。10月以降、政策金利であるレポレート(貸出金利)は、3回引き下げられ9.0%から6.5%となっており、その他、リバースレポレートは1回、預金準備率は4回引き下げられている。
  為替の動向をみると、年初からの株価の大幅な下落を背景に大きく減価しており、08年11月末では1ドル=50.1ルピーと年初来21.3%の減価となっている。

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