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9 タイ     The Kingdom of Thailand

タイ経済のこれまで

<2007年の経済>
 2007年の経済成長率は、4%台前半になるものと見込まれる(政府見通し4.0〜4.5%、民間機関9社の平均4.3%(07年10月時点))。民間見通しは、半年前(07年4月時点4.3%)と同程度の水準となっている。
 07年前半の経済成長率は、1〜3月期は前年同期比4.2%、4〜6月期は同4.4%となった。輸出と政府消費がけん引役となる一方、民間需要は停滞した。輸出は、ASEANやEU向け等を中心にコンピューター・同部品や自動車・同部品等の主要輸出品目が好調に推移し、経済成長に対して大きな寄与を示した。また、政府消費の増加は、06年9月の政変以降成立が遅れていた予算が12月27日に成立し、07年に入り予算執行が開始されたことによるものである。一方、民需については、政情不安や政府の経済政策の方向性が不透明であることなどから消費者や企業の景況感が悪化し、個人消費及び民間投資はともに停滞した。物価動向については、1〜9月期の消費者物価上昇率は前年同期比2.0%と低位で推移し、コア消費者物価上昇率も同1.0%と安定している。
 なお、タイでは06年9月19日の政変以降、それまでの1997年憲法が停止されていたが、07年8月19日に新憲法案の認否を問う国民投票が行われた結果、有効投票者の過半数以上の賛成を得て承認され、8月24日に国王の署名を得て公布された。また、12月23日に総選挙が実施されることとなっている。

タイの主要経済指標

<2008年の経済見通し>
 2008年の経済成長率は4%台後半になると見込まれる(政府見通し5.0%、民間機関9社の平均4.8%(07年10月時点))。物価の落ち着きや金利の引下げによる個人消費の回復、暫定政権から民政復帰に向けた政情の安定化や政府支出の加速による民間投資の回復等が期待される。
 一方、下方リスクとしては、バーツ高や世界経済の減速による輸出の鈍化、外国人投資家に対する規制強化により外資系企業等の投資が鈍化することなどが挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 2008年度予算は9月5日に議会において可決承認され、歳出は1兆6,600億バーツ、歳入は1兆4,950億バーツで、財政赤字は1,650億バーツ(GDP比1.8%)となった。うち、投資的経費は4,047億バーツ(前年度比8.0%増)となっており、景気刺激を狙った予算編成となっている。
 金融政策については、タイ中央銀行は07年に入って物価上昇率の低下と内需の減速を背景に、1月から7月にかけて累計5回の利下げを実施したが、その後は内需に回復の兆しがみられることなどを背景に3.25%に据え置いている。
 為替の動向をみると、バーツはドルに対し06年初来増価し続けており、特に07年7月には10年ぶりの最高値をつけるなど急伸した。その後やや減価したものの、07年11月末では07年初比で13.9%の増価となった。また、財務省とタイ中央銀行は7月24日、対外直接投資のための外貨購入の許可や外貨預金の一部自由化等の資本移動に関する規制を緩和する政策を発表した。


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