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10  マレーシア     Malaysia

マレーシア経済のこれまで

<2007年の経済>
 2007年の経済成長率は、6%程度になるものと見込まれる(政府見通し6.0%、民間機関9社の平均5.7%(07年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(07年4月時点5.4%)に比べ上方修正されている。
 07年前半の経済成長率は、1〜3月期は前年同期比5.5%、4〜6月期は同5.8%となり、内需を中心に景気は拡大した。内需をみると、個人消費は可処分所得の増加や安定した雇用環境を背景に増加し、経済成長の大きなけん引役となった。また、総固定資本形成も公的・民間の両部門で堅調に増加した。一方、外需の寄与は小さく、輸出をみると、パーム油の国際的な需要の高まりにより一次産品が好調だったものの、シェアの約半分を占めるIT関連財が減少したため、輸出全体は伸びが緩やかになった。産業別にみると、製造業がIT関連財の不振により弱い動きをみせる一方、サービス業は高い伸びを示し、建設業も第9次マレーシア計画(06〜10年)によるプロジェクト開発等で高い伸びとなった。7〜9月期の経済成長率は、年前半と同様に個人消費と総固定資本形成の内需が大きく寄与し、前年同期比6.7%となった。
 物価動向については、06年2月に実施された燃料小売価格の引上げの影響から前年比でみて上昇が続いてきた輸送コスト等が、07年に入ってから落ち着いてきたこともあり、1〜9月期の消費者物価上昇率は前年比2.0%と、06年に比べて低い伸びとなった。

マレーシアの主要経済指標

<2008年の経済見通し>
 2008年の経済成長率は、5%台後半〜6%程度の成長になると見込まれる(政府見通し6.0〜6.5%、民間機関9社の平均5.7%(07年10月時点))。個人消費が可処分所得の堅調な伸びや安定した雇用環境により増加するとともに、民間投資が法人税率の引下げ(後述)等の影響も受けて引き続き堅調に推移するほか、第9次マレーシア計画に基づく公的投資の増加が景気を下支えすると見込まれる。
 一方、世界経済の減速やリンギ高による輸出の鈍化や原油価格の高騰等による物価上昇の影響といった下方リスクが挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 2008年度予算案をみると、歳出は前年度比3.9%増の1,680億リンギ(経常歳出1,288億リンギ、開発歳出392億リンギ)、歳入は同3.7%増の1,471億リンギとなり、209億リンギの財政赤字が見込まれる。財政赤字は11年連続となるが、GDP比でみると2000年度の5.5%から、06年度同3.3%、07年度同3.2%、08年度同3.1%に低下すると政府は見通しており、財政赤字の削減が進んでいることがうかがえる。予算案の内容をみると、(1)国家全体の競争力の強化、(2)人的資本開発の強化、(3)国民の福祉の充実という三つの基本戦略を打ち出しており、その主な政策として、法人税率の引下げ(08年度に27%から26%、09年度に25%)、イスラム金融市場育成に向けた施策、初等教育の無料化等が掲げられている。
 金融政策については、政策金利であるオーバーナイト金利は、07年に入ってからは消費者物価上昇率が落ち着いていることと国内経済が良好であることを背景に、3.50%に据え置かれている。


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