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11 インド     India

インド経済のこれまで

<2007年度の経済>
 2007年度の経済成長率は、8%台後半となる見込みである(中銀見通し8.5%(07年10月時点)、民間機関8社の平均8.7%(07年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(07年4月時点8.3%)に比べて上方修正となっている。07年4〜6月期の経済成長率は前年同期比9.3%と高い伸びとなった。産業別でみると、GDPの約60%を占める第3次産業が景気をけん引し、うち商業・ホテル・運輸・通信部門は同12.0%増と高い伸びが続いているほか、GDPの約16%を占める製造業も同11.9%増の伸びをみせた。また、全就業人口の約60%を占める農業(GDPの約20%)は、同3.8%増と堅調に推移した。
 物価については、インド準備銀行(中央銀行)が重視している卸売物価上昇率は、4〜6月期は前年比5.2%、7〜9月期同4.0%と推移した。

インドの主要経済指標

<2008年度の経済見通し>
 2008年度の経済は、8%台前半程度の成長が見込まれる(民間機関8社の平均見通し8.2%(07年10月時点))。サービス業と製造業の堅調な伸びに加え、海外からの資本流入の増加を背景とした設備投資等の拡大による成長が期待される。
 他方、GDPに占める農業の比重が大きく、かんがい普及率が低いことなどもあり、天候要因に景気が左右される懸念もある。また、経済の高成長等を背景に海外からの資金調達への依存度が高まってきており、国際金融資本市場のさらなる変動がインドへの投資や実体経済に与える影響といった下方リスクも挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 財政政策をみると、財政赤字の削減が課題となっており、中央政府は、2004年度以降、財政赤字を毎年度GDP比0.3%相当額ずつ削減し、09年3月末までにGDP比で3.0%に引き下げることとしている。07年度中央政府予算(予算案ベース)においては、歳出の伸びが前年度比17.0%増、歳入は同23.4%増となり、財政赤字はGDP比3.3%と06年度実績見込みの3.7%から改善が見込まれている。
 金融政策については、インド準備銀行(中央銀行)は、04年以降引締めスタンスをとっており、国内の物価上昇や過剰流動性等に配慮した政策運営を行っている(07年度は卸売物価上昇率の適正水準を前年比5%以下、マネーサプライ(M3)の伸びを17.0〜17.5%に設定。)。政策金利であるレポレート(貸出金利)は、4月に0.25%引き上げられて7.75%(リバース・レポレート(借入金利)は6.0%に据置)とされた。一方、預金準備率は4月、8月、11月と3回引き上げられ7.50%とされた。
 為替の動向をみると、経済の高成長や資本流入の拡大を受けてルピー高が進行した。9月には約9年ぶりのルピー高となる1ドル=40ルピーを切る水準となり、10月末では1ドル=39.3ルピーと07年初来12.7%の増価となった。また、政府は10月、政府の登録を受けない海外投資家による匿名性の高い資金の国内流入に歯止めをかけるため、「Pノート(Participatory Note)」と呼ばれる金融商品を介した間接的な株式投資を制限する規制案を発表した。


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