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15 フランス     French Republic

フランス経済のこれまで

<2007年の経済>
 2007年の経済成長率は、06年を下回る2%程度となる見込みである(政府見通し2.0〜2.5%、民間機関23社の平均1.9%(07年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(07年4月時点2.1%)に比べ、若干下方修正されている。
 景気は回復している。雇用環境改善により、個人消費は堅調に推移している。また、企業景況感は堅調に推移しており、設備投資は緩やかに増加している。一方、ユーロ高等から輸出は伸び悩んでおり、純輸出の寄与は低い。生産は、05年以降、輸出の伸び悩み等を背景におおむね横ばいとなっていたが、資本財の生産が増加していることから、07年半ば以降緩やかに増加している。景気の回復に加え、政府の雇用対策もあって、06年初より雇用情勢は改善しており、失業率は低下している(07年4〜6月8.1%(前年同期の9.0%から0.9%の低下))。消費者物価上昇率(前年同月比)は、エネルギー価格や食料品価格を受けて、07年9月以降上昇している(07年10月2.0%)。

フランスの主要経済指標

<2008年の経済見通し>
 2008年は2%程度の経済成長が見込まれる(政府見通し2.0〜2.5%、民間機関23社の平均2.0%(07年10月時点))。景気回復を支える要因としては、雇用情勢の改善に加えサルコジ政権の経済対策もあって消費が引き続き堅調に推移することや、企業の今後の生産見通しが高いことを背景に設備投資が引き続き増加することが挙げられる。一方、こうした見通しに対する下方リスクとしては、価格の上昇率が鈍化している住宅市場の想定以上の冷え込みやさらなるユーロ高等による輸出減速が挙げられる。

<財政政策の動向>
 2006年の財政赤字は、景気の回復により高水準の歳入を維持したことなどから、05年のGDP比2.9%からさらに改善して、同2.5%となり、前年同様EUの「安定成長協定」で定める同3%内に収まった。また、07年9月に閣議決定した08年度予算案では07年の財政赤字をGDP比2.4%と見込んでおり、欧州委員会も、ほぼ同じ水準の見通しを公表している。
 08年の財政赤字については、歳出削減は進むものの、一方で、08年度予算案に盛り込まれたサルコジ政権の経済対策に(1)週35時間を超える超過勤務手当分にかかる従業員の所得税と社会保険料の支払の全額免除及び雇用主の社会保険料負担の軽減、(2)住宅ローン返済時の金利返済分20%の所得税控除等、GDP比0.4%に相当する減税が含まれていることから、07年とほぼ同水準のGDP比2.3%と見込まれている。


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