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17 英 国     United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

<2005年>

英国経済のこれまで

<2006年の経済>
 2006年の経済成長率は、2%台後半ば程度となる見込みである(政府見通し2.0〜2.5%、民間機関26社の平均2.5%(06年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年4月2.2%)に比べて若干上方修正されている。
 個人消費は緩やかに増加している。良好な雇用・所得環境に加え、住宅価格の緩やかな上昇による資産効果が消費増を支えており、06年4〜6月期には、サッカーのワールドカップ効果といった要因もあって前期比年率4.0%増となった。
 主要輸出先であるヨーロッパの景気回復に伴い輸出が増加し、製造業の生産動向も底堅い。企業の財務状況の改善や、資本財価格の低下等を背景に、設備投資が堅調に推移することで景気回復を下支えしている。好調な企業部門を背景に雇用者数は増加を続けているものの、女性・高齢者の労働参加や移民の流入等による労働力人口の増加が大きく、失業率はこのところやや高まっている。
 消費者物価上昇率は年初にはインフレ目標の2%前後で推移していたが、原油価格高騰の影響により年央にかけてやや高まった。9月以降はその影響が徐々にはく落しつつある中で、公共料金の引上げや、大学授業料の引上げ等の影響もあり、依然としてインフレ目標を上回る水準で推移している。

英国の主要経済指標

<2007年の経済見通し>
 2007年の経済成長率も2%台半ば程度となる見込みである(政府見通しは、2.75〜3.25%、民間機関26社の平均2.4%(06年10月時点))。民間機関の見通しは前回(06年4月、2.5%)に比べて下方修正されている。なお、欧州委員会の秋季経済見通し(06年11月)では、07年は2.6%の成長を予測している。
 エネルギー価格や輸入物価の上昇圧力が緩和されることで、消費者物価はいずれやや落ち着いてくるとみられ、可処分所得の増加もあって消費は緩やかに拡大すると見込まれる。金利上昇の影響もあり住宅投資は軟調になるとみられるものの、労働供給の伸びや経済の余剰生産能力が限られていることにより設備投資は緩やかに増加すると見込まれる。07年は大規模な公共投資が予定されていることなどから、固定投資も堅調に推移する見通しである。
 こうした見方に対する下方リスクとしては、アメリカ経済の急減速、ポンドの増価による輸出競争力の低下、将来の所得・雇用情勢への不安感等から家計貯蓄率がより一層上昇し、消費が抑制される可能性等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 2006年度の財政赤字はGDP比3.0%となる見込みである。景気回復を背景に企業収益が伸びており、特に石油関連企業や金融業の収益増から法人税収の増加が見込まれている。今後も歳出抑制や石油関連企業への増税、租税回避対策等によって英国の財政収支は徐々に改善していくとみられる。英国は、欧州委員会によって、06年初に過剰財政赤字是正手続の対象国とされたが、9月には、財政の健全化にはいまだ脆弱性が残るものの06年度末までには財政赤字を3%以下に是正する軌道に乗っておりこれ以上手続を進める必要はないと判断され、現在は事実上手続が停止されている。
 金融政策については、イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、06年8月、堅調な経済成長が持続する中、企業収益の回復に伴う賃金上昇等によって消費者物価がインフレ目標の水準に戻るには時間を要すると判断して、政策金利(バンクレート)を0.25%引き上げ4.75%とし、先々の物価上昇圧力に対して予防的な措置を講じた。その後、消費者物価が目標を上回ってさらに上昇する見通しであること等を理由に、11月にも再度0.25%の利上げを行い政策金利を5.00%としている。


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