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16 イタリア     Republic of Italy

<2005年>

イタリア経済のこれまで

<2006年の経済>
 2006年の経済成長率は、05年を上回る1%台後半となる見込みである(政府見通し1.6%、民間機関6社の平均1.6%(06年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年4月時点1.3%)に比べ、上方修正されているものの、引き続きユーロ圏全体の成長率より低い成長が見込まれている。世界景気の回復から、輸出は徐々に改善している。また生産や受注は好転し、設備投資の伸びも高まっている。このような状況の中で、雇用は改善し、失業率は低下している(06年4月:7.0%)。この結果、所得も増加して消費は回復している。ただし、イタリアの輸出は衣料品や家具、タイル等の労働集約的な財が中心であり、またEU域外輸出比率も高いことから(05年: 41.4%)、ユーロ高の中で、労働コスト抑制等による国際競争力の強化が引き続き課題となっている。

イタリアの主要経済指標

<2007年の経済見通し>
 2007年もユーロ圏全体と比べて低い成長にとどまると見込まれる(民間機関6社の平均1.3%、06年10月時点)。成長を支える要因としては、最大の輸出先であるドイツの景気回復が挙げられる。下方リスクとしては、アメリカ経済の急減速やさらなるユーロ高からの輸出減速が挙げられる。

<財政政策の動向>
 05年の財政赤字はGDP比4.1%となっており、3年連続でEUの「安定成長協定」で定める3%を大きく超えた。政府は05年12月に欧州委員会に提出した「安定プログラム」の中で07年に同2.8%まで財政赤字を削減する方針を打ち出したものの、06年3月のEU財務相理事会では、引き続きイタリアの過剰財政赤字解消に係る取組の状況を欧州委員会が監視することで合意がなされた。また政府債務残高対GDP比は05年度末で106.6%と同協定で定める60%の上限を大幅に超えており、利払費の負担は05年でGDP比4.7%に達している。
 06年4月の総選挙の結果、5月に中道左派連合のプロディ新政権が成立したが、僅差での選挙戦の中で雇用コストの削減による企業競争力強化や福祉政策の充実等、財政負担を伴うと考えられる公約を打ち出している。7月に閣議決定された5か年経済財政計画(DPEF2007〜2011)は収税の強化と大胆な規制緩和を中心した内容となっており、11年までに財政赤字のGDP比を0.1%まで、また政府債務残高を同99.7%まで低下させる目標を示した。07年度予算案(06年9月)では、06年、07年の財政赤字を各々GDP比4.8%、2.8%と見込んでおり、歳出減を中心に148億ユーロ(GDP比1%)を捻出する予定となっているが、具体的な赤字削減策が不確定であり、国内外で実効性に疑問があるとの指摘もみられる。


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