15 フランス French Republic
<2005年>
<2006年の経済>
2006年の経済成長率は、05年を上回る2%台前半程度となる見込みである(政府見通し2〜2.5%、民間機関24社の平均2.3%(06年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(06年4月時点2.0%)に比べ、上方修正されている。06年4〜6月期は、堅調な個人消費と企業を中心とした設備投資の大幅増加により、前期比年率4.9%の高成長となった。消費はもともと堅調であり、景気回復やワールドカップ効果で、06年に入り加速している。生産は弱い動きが続いていたが、06年前半は持ち直しの動きがみられた。このような状況の中で、政府の雇用対策もあって、雇用は改善しており、失業率は5年来の低水準にある(06年9月8.8%)。消費者物価上昇率については、エネルギー価格の上昇の寄与が大きいものの、2%弱で落ち着いている。
06年7〜9月期の実質GDP成長率は、消費及び投資は堅調であったものの、在庫投資のマイナスの寄与が大きかったことから、前期比年率▲0.1%となった。財の輸出に関しては、同期間では減少に転じており、貿易赤字は数年来のレベルに達している。
<2007年の経済見通し>
2007年は2%程度の経済成長が見込まれる(政府見通し2.0〜2.5%、民間機関24社の平均2.0%(06年10月時点))。景気回復を支える要因としては、雇用環境の改善等により消費が引き続き堅調に推移することが挙げられる。一方、こうした見通しに対する下方リスクとしては、住宅市場の急減速やさらなるユーロ高からの輸出減速が挙げられる。
<財政政策の動向>
05年の財政赤字は、景気の回復により税収が増加したことなどから、04年のGDP比3.7%から改善して、同2.9%となり、4年ぶりにEUの「安定成長協定」で定める同3%内に収まった。ただし、05年は電力公社の株式会社化により職員年金が一般制度に移行することに伴う清算金受取という特殊要因で同比率は0.5%程度改善したとみられている。また政府債務残高のGDP比は66.6%となり、同協定で定める60%の上限を超えた状態が続いた。
06年9月に閣議決定した07年予算案では06年、07年の財政赤字を各々GDP比2.7%、2.5%と見込んでおり、同協定の3%基準内に収まる見通しとなっている。一方で、06年、07年の政府債務残高は同64.6%、63.6%と同協定で定める60%の上限を引き続き上回るとしている。また欧州委員会も、ほぼ同じ水準の見通しを公表している。なお、07年予算案は歳出の伸びを実質ベースでマイナスとするなど、歳出削減を主眼としているが、大統領選挙を07年4月に控え、ドビルパン首相は減税を打ち出しており、実際に財政赤字削減が進むかどうかは不透明であるとの指摘もある。