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14 ドイツ     Federal Republic of Germany

<2005年>

ドイツ経済のこれまで

<2006年の経済>
 2006年の経済成長率は、05年を上回る2%台前半程度となる見込みである(6大経済研究所見通し2.3%、民間機関25社の平均2.2%(06年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(06年4月時点1.7%)に比べ、上方修正されている。引き続き企業部門を中心とした景気回復ではあるものの、家計部門への波及を示唆する指標も出つつある。06年前半は、これまで成長をけん引した外需だけでなく、個人消費が徐々に回復し、また設備投資の伸びが著しかった。06年初まで弱かった個人消費はワールドカップ効果や雇用環境の改善から増加に転じ、設備投資は政策金利引上げがあったにもかかわらず、高い国際競争力を背景に大きな伸びを示した。このような状況の中で、失業率は徐々に低下している。消費者物価上昇率は、エネルギー価格高騰から、06年前半は2%前後の動きとなっていたが、昨年の急騰と直近の急落というベース効果から足元では低水準で推移している(06年10月:1.1%)。

<2007年の経済見通し>
 2007年の経済成長率は、06年を下回る1%台半ば程度となる見込みである(6大経済研究所見通し1.4%、民間機関25社の平均1.4%(06年10月時点))。エコノミストに対するZEW景況感指数及び主要四業種に対するIFO景況感期待指数も07年初以降の景気減速を示唆している。この背景には、付加価値税率引上げ(07年1月より16→19%)による消費の減速や、政策金利上昇に伴う設備投資の若干の鈍化、アメリカ経済の減速が挙げられる。一方、成長を支える要因としては、ユーロ圏を中心に堅調な国外からの受注を背景とした生産の好調さが挙げられる。

ドイツの主要経済指標

<財政政策の動向>
 2005年11月にドイツの2大政党キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)が連立協定を発表し、メルケルCDU党首を首班とする約40年ぶりの大連立政権が発足した。連立協定の中身は、前述の付加価値税引上げや年金支給開始年齢の引上げ、富裕層を対象とした所得税率の引上げ等、財政再建を前面に出したものとなっている。05年の財政赤字はGDP比3.2%となり、当初見込まれていた同3.9%より改善したものの04年の同3.7%に引き続き、EUの「安定成長協定」で定めた遵守基準(同3%)を超過した。06年の財政赤字については、06年2月にドイツ政府が欧州委員会に提出した安定プログラムにおいては、同3.3%と見通していた。これを受けて、欧州委員会から勧告を受けたEU財務相理事会は、06年3月にドイツ政府に対し、遅くとも07年までに財政赤字を同3%以下に抑えるよう求める警告を発出した。06年7月5日にドイツ政府が欧州委員会に提出した財政計画では、06年、07年の財政赤字を各々GDP比3.0%、2.5%と見込んでおり、06年7月19日に欧州委員会は「過剰財政赤字手続きをさらに進める必要はない」との立場を示した。
 好調な経済に支えられた税収増加により06年1〜6月期のドイツの財政赤字はGDP比2.5%にまで減少し、「安定成長協定」の遵守基準である同3%を下回った。シュタインブリュック財務相は06年の財政赤字が同2.6%を下回る公算が大きいことを認め、欧州委員会の見通しでも同2.3%となっている。なお、07年以降に実施予定の税制改革の中で大きいものは07年からの付加価値税の引上げ、公的健保の保険料率引き上げ(総賃金の0.5%引き上げ)、08年からの法人実効税率引下げ(38.65%→30%弱)である。


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