11 インド India
<2005年>
<2006年度の経済>
2006年度の経済成長率は、8%程度となる見込みである(政府見通し8%程度、民間機関8社の平均8.1%(06年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年4月時点7.3%)に比べて上方修正となっている。06年4〜6月期の経済成長率は前年同期比8.9%と高い伸びとなった。GDPの約60%を占める第3次産業が景気をけん引し、中でも商業・ホテル・運輸・通信部門が同13.2%と伸びを加速させたほか、GDPの約15%を占める製造業も同11.3%と伸びを加速させた。また、インド経済では、天候によって農林水産業(GDPの約20%、就業者数では全人口の約60%を占める)に経済成長率が左右される面もあるが、06年4〜6月期は同3.4%となり、前年並みの伸びを示した。物価については、インド準備銀行が重視している卸売物価上昇率が7〜9月期は前年同期比5.1%となり、06年初よりやや伸びが加速している。
<2007年度の経済見通し>
2007年度の経済は、7%台の成長が見込まれる(民間機関8社の平均見通し7.3%(06年10月時点))。
成長を支える要因としては、成長分野として期待されるソフトウェアサービス輸出の拡大や情報関連産業の伸びなどが挙げられる。他方、GDPに占める農業の比重が大きいため、依然として天候要因に経済状況が左右される懸念もある。また、高い成長を維持するためには、投資の拡大につながるインフラの整備が課題とされている。
<財政金融政策の動向>
財政政策をみると、中央政府と州政府を合わせた一般政府の財政赤字がGDP比で9%を超える水準が近年続いているため、財政改革が喫緊の課題となっている。そのため、政府は財政責任法に基づき中央政府財政赤字を04年度以降、毎年GDP比0.3%相当額ずつ削減するよう求められており、06年度予算においても同法に従った赤字削減が盛り込まれ、GDP比3.8%と05年度実績の4.1%から改善するとされている。歳入面では、近年の高成長を反映し税収の伸びが堅調で、06年度も引き続き20%程度の税収増を見込んでいる。また、政府は徴税効率を改善し税収の増加を図るため、税制改革に取り組んでいる。中でも、州によって異なっていた税率を統一し、徴税システムを効率化するため、05年4月から従来の州売上税(SST)に代わり、付加価値税(VAT)への移行を進めており、06年7月までにはほとんどの州で導入が進むなど、税体系の改善にも進展がみられ、企業収益の増加による法人税収の増加等と相まって06年4〜6月期の歳入(総額)は前年比40.5%増の1兆3,147億ルピーと堅調に増加した。
金融政策については、インド準備銀行は政策金利を06年1月、6月、7月にそれぞれ0.25%ポイントずつ引き上げた。10月は、リバースレポレートは6.0%のまま据え置き、レポレートはさらに0.25%ポイント引き上げ7.25%とした。インド準備銀行は、景気が拡大している中、一次産品での需給逼迫の兆しがあること、マネーサプライや貸出の伸びについても当初予測より高めに推移すると見込まれることなどを指摘している。