12 オーストラリア Commonwealth of Australia
<2005/2006年度>
<2006年の経済>
2006年の経済成長率は、3%程度となる見込みである(民間機関23社の平均2.9%(06年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年4月時点2.8%)とほぼ同水準となっている。06年前半は、05年に引き続き国際商品市況の高騰を受けた天然資源関連分野への設備投資や良好な雇用・所得環境を背景とした個人消費の伸び等により、経済成長率は、1〜3月期前年同期比2.9%、4〜6月期同1.9%と堅調に推移した。特に失業率は、天然資源関連分野を中心とした企業業績の好調を背景に、7月には30年ぶりの低失業率である4.8%となるなど、良好な雇用環境となっている。06年後半も引き続き内需が景気のけん引役になると見込まれる。
<2007年の経済見通し>
2007年の経済成長率は、3%程度になる見込みである(政府見通し3.3%(06/07年度)、民間機関23社の平均2.8%(06年10月時点))。成長を支える要因としては、引き続き好調な天然資源関連分野等における好調な企業業績を背景とした良好な雇用環境による個人消費の増加等が挙げられる。下方要因としては、06年9月以降著しく悪化しているかんばつが農作物生産や輸出に与える影響大きいとみられており、政府は06/07年度の冬穀物主要3品目(小麦、大麦、菜種)の生産見通しを前年度比60%以上減産になると試算し、同年度の経済成長率を0.7ポイント程度押し下げるとみている。
また、下方リスクとしては、低失業率の中で労働コストの上昇等によるインフレリスクが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政収支は、9.8億豪ドル(GDP比0.1%)の赤字となった01/02年度を除いて、97/98年度以降連続して黒字を達成している。05/06年度はサイクロン被害支援支出が見込み額より小額であったことなどから、当初見込み額を上回る158億豪ドル(GDP比1.6%)の黒字となった。06/07年度も108億豪ドル(GDP比1.1%)の黒字を見込んでいる。
06年5月に発表された06/07年度の予算案の特徴としては、歳入面では4年連続となる個人所得税減税、歳出面では輸出の促進にもつながる道路や鉄道等輸送インフラ設備の拡充等が挙げられる。個人所得税減税については、所得層別の課税対象所得額のさらなる引上げ、高所得層への適用税率引下げ等が盛り込まれており、国民の労働意欲の促進等を図るとしている。また、政府はかんばつの被害を受けている農家に対し、過去5年間に行ってきた12億豪ドルを超える支援に加え、06年10月に9億豪ドルに上る規模の追加支援を表明するなど、対象農家に借入金の利子補填や救済給付等の大規模な支援対策を講じている。
金融政策については、06年5月、オーストラリア連邦準備銀行は一次産品価格の高騰、労働需給の引締まり、投資の増加等による物価上昇圧力への懸念があるとし、政策金利(キャッシュレートの誘導目標水準)を0.25%引き上げ5.75%とした。また、8月には、成長が続く世界経済や力強い内需により、消費者物価上昇率(基調)が従来の見通しを超えて上昇する見込みであると判断し、中期的なインフレ抑制のために政策金利をさらに0.25%引き上げ6.00%とした。政策金利が6%を超えるのは01年以来5年半ぶりとなる。