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3 中 国      People's Republic of China

<2005年>

中国経済のこれまで

<2006年の経済>
 2006年1〜9月期の経済成長率は前年比10.7%と高い伸びとなり、景気は拡大が続いており、06年通年でも10%台の見込みである(政府目標8%前後(全人代、06年3月)、民間機関27社の平均10.4%(06年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(06年4月時点9.0%)に比べ大幅に上方修正されている。社会商品小売総額は所得の増加等から前年比10%台前半で推移しているものの、依然として投資が経済をけん引している(05年投資率43%)。固定資産投資は、06年に入ってから二度の貸出基準金利の引上げや直接規制等の引締め策が実施されたためこのところやや伸びが鈍化しているものの、1〜9月期(名目)で前年比20%台後半の高い伸びとなった。貿易動向をみると、輸出の伸びが輸入の伸びを上回って推移する中、貿易黒字幅は拡大し1〜9月期に約1,100億ドルと過去最高の黒字額であった05年の約1,020億ドルを超えた。消費者物価上昇率は、原油価格高騰等により燃料価格の引上げ等があったものの、ウェイトの大きい食料品価格の落ち着き等を背景に安定しており、おおむね1%台前半で推移している。(都市部)失業率は03年以降ほぼ横ばいで推移している。

中国の主要経済指標

<2007年の経済見通し>
 2007年の経済成長率は、投資や貸出の高い伸びに対する政府のマクロコントロールの強化や輸出の鈍化によりやや鈍化するものの、引き続き堅調な民間投資のほか、輸送等のインフラ投資を政府が引き続き積極的に行っていることや所得増に伴う個人消費の増加等から、9%台となる見込みである(民間機関27社の平均9.3%(06年10月時点))。下方リスクとしては、賃金上昇等のコスト高による企業収益の悪化等の国内要因のほか、貿易摩擦問題の悪化や原油価格の上昇による物価上昇等の対外的要因が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 財政政策をみると、2005年度の中央政府の財政赤字は2,999億元(GDP比1.6%)となった。06年度については、全国人民代表会議(3月)において、穏健な財政政策を継続し、財政赤字は2,950億元(同1.6%)とされており、三農問題の解決等に重点を置くとしている。
 金融政策については、固定資産投資及び銀行貸出の高い伸びを抑制するため、中国人民銀行は06年4月27日、8月18日と二度にわたり貸出基準金利を0.27%ポイント引き上げ6.12%(1年物)とし、併せて主要銀行に対し窓口規制等を実施している。一方、貿易黒字の拡大等により外貨準備高は急増しており、06年9月末において9,879億ドルと日本を抜いて世界1位となっている。この急増する外貨の流入により生じている過剰流動性に対しては、預金準備率の引上げや売りオペ等による不胎化政策を実施している。しかしながら、マネーサプライ(M2)の伸びは年初に比べてやや鈍化する動きがみられるものの、06年の目標値である前年比16%を超えて推移している。
 為替政策については、05年7月に通貨バスケットを参考とした管理変動相場制に移行した後、05年9月及び06年1月に為替制度改革を実施しており、為替レートの変動を市場に委ね、変動幅を拡大させるとしている。しかしながら、人民元は米ドルに対し、05年7月の約2%の切上げ後から06年10月末時点までは約3%の増価にとどまっていることなどから、変動幅のさらなるの柔軟化を求める声も多い。


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