2 カナダ Canada
<2005年>
<2006年の経済>
2006年の経済成長率は、3%程度となる見込みである(政府見通し3.0%、民間機関25社の平均2.9%(06年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年4月時点3.1%)に比べて若干下方修正されている。06年前半のカナダ経済は、1〜3月期は良好な雇用環境を背景に、個人消費や設備投資等の国内需要が堅調であったことから、前期比年率3.8%の成長となった。4〜6月期には鈍化して同2.0%となったが、これは、国内需要が堅調に推移する中、輸入が拡大したことにより、純輸出のマイナス寄与が拡大したことが大きい。
輸出面では、原油高の影響でエネルギー産業が好調であるものの、カナダ・ドルが引き続き対米ドルで増価している中で、製造業への影響が懸念される。カナダ・ドルは高止まりしており、海外需要のマイナス寄与は当面続くとみられる。物価は、消費者物価上昇率が金融政策の目標圏である前年比1〜3%の範囲内で推移している。このところの原油価格の低下に伴い、エネルギー価格の高騰によるインフレ懸念は後退しつつあるが、足下では、住宅価格の上昇が顕著になっているなどインフレ圧力も存在している。
<2007年の経済見通し>
2007年は2%台後半から3%程度の比較的堅調な成長が見込まれる(IMF見通し3.0%(06年9月)、民間機関25社の平均2.6%(06年10月時点))。
成長を支える要因としては、個人消費や設備投資はやや鈍化するものの堅調に推移するとみられるほか、徐々に輸出が改善すると見込まれることが挙げられる。
下方リスクとして、カナダ・ドルの過度の増価や最大の貿易相手国であるアメリカの景気が急減速した場合における輸出減少の影響等が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
カナダ政府は1994年度から本格的な財政再建に取り組んでおり、97年度以降財政収支は9年連続で黒字となっている。また、95年度に68.4%とピークだった純債務残高のGDP比率は、05年度には35.1%に減少している。カナダ政府は04年度予算案から、14年度までに純債務残高をGDP比25%にするという目標を掲げており、それは06年度予算案においても継承されている。
カナダ中央銀行は、05年9月以降、7回連続で利上げを実施してきたが、06年7月の金融政策会合で1年ぶりにオーバーナイト政策金利を4.25%に据え置くことを決定した。この背景としては、カナダ中央銀行は7月の政策決定後の声明の中で、「現在の政策金利水準は中期的なインフレ目標達成に整合的であると現時点では判断される」と述べている。以後、9月、10月の金融政策会合においても金利の据え置きが決定されており、物価は最終的には金融政策目標である2%に落ち着くものとみられている。
また、今後の物価変動リスクとして、家計支出の力強さや住宅価格の動向による上振れリスクとアメリカの予想以上の景気減速による下振れリスクを指摘している。