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18 英 国     United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

<2004年>

英国経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は、2%前後となる見込みである(政府見通し2.0〜2.5%、民間機関28社の平均値2.0%(05年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(05年5月2.4%)と比べ下方修正されている。
 03年11月から04年8月にかけて政策金利を段階的に引き上げたことによって、これまで急激な上昇が続いた住宅価格の伸びは沈静化したが、住宅価格上昇による資産効果が弱まったこと、金利上昇により消費者が所得を貯蓄に向けるようになったこと、原油価格高騰によりエネルギー価格が上昇したことから、景気を支えてきた個人消費は、04年の3.7%から05年7〜9月期には前期比年率1.9%まで鈍化している。一方で、投資は企業部門の設備投資が堅調に増加しており、景気を下支えしている。雇用環境は引き続き良好で、失業率は低位安定を維持しているが、失業者数は消費の鈍化を受け、小売業を中心に年初から緩やかに増加している。

英国の主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は、2%台前半となる見込みである(政府見通し2.5〜3.0%、民間機関27社の平均値2.3%(05年10月時点))。所得が今後緩やかに回復することや住宅価格が今後も安定して推移することから、個人消費の伸びは緩やかに回復するとみられている。また、政府支出も増加すると予想されており、景気を下支えするほか、設備投資も、最大の輸出先であるユーロ圏の景気回復による輸出増から、緩やかに増加するものとみられている。
 下方リスクとしては、消費者信頼感が依然として低迷していることや、年金改革や家計債務残高の増加により、消費を控える傾向がみられることから、消費の回復が遅れるおそれがある。

<財政金融政策の動向>
 2005年度の財政収支はGDP比3.0%の赤字になると見込まれている。ブラウン財相は7月にゴールデンルール(景気循環を通じて政府の借入れを投資目的に限定するルール)の基準となる景気循環の開始時期をこれまでより2年前倒して97〜98年度とした。これにより、景気循環の期間が長くなったことから、ゴールデンルールに基づく政府の借入可能額は125億ポンド増えることになったが、経済が05年度予算案を発表した際の予測(GDP成長率3〜3.5%)よりも減速していることから、政府の借り入れ枠だけでは財源が不足し、中期的には増税に踏み切るのではないかとみられている。ブラウン財相は9月にGDPの予測を下方修正する可能性があると発言していたが、12月5日に公表されたプレバジェット・レポートで新たな見通しが示される予定である。
 金融政策については、イングランド銀行は、景気の減速を受け04年8月以降4.75%に据え置いてきた政策金利を、05年8月に0.25%引き下げ4.50%とした。市場では消費の減速を背景に、早期の利下げを期待する見方がある一方、原油価格の高騰等により05年8月から消費者物価上昇率がインフレターゲットの2.0%を連続して上回っていることから、今後の物価動向次第では利上げが行われるとの見方もある。ただし、イングランド銀行は8月の利下げ以降、据置きを続けており、政策金利の変更について慎重な姿勢を示している。
 年金改革について、ブレア首相は9月に開かれた労働党大会で、11月にまとめられる独立委員会の報告を受けて年金改革に着手することを表明した。


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