19 ロシア連邦 Russian Federation
<2004年>
<2005年の経済>
2005年の経済成長率は6%程度と見込まれている(経済発展貿易省見通し5.9%、政府見通し6.3%、民間機関7社の平均5.8%(05年10月))。05年に入ってからも原油高による輸出の好調さがけん引となり、1〜3月期前年同期比5.2%、4〜6月期同6.1%と景気は拡大している。エネルギー部門の輸出は全体の5割強を占めており、原油の生産及び輸出は世界で第2位、天然ガスの生産及び輸出は世界第1位となっている。また、エネルギー産業を中心に生産・投資も高い伸びを示しているとともに、良好な雇用・所得環境によって個人消費も堅調に推移している。原油価格の高騰が続く中で、05年の経済成長は政府見通しを上回る可能性もある。
一方、好調な経済状況の中で数少ないリスク要因の一つであるインフレ率は、年央より若干落ち着きを示しているものの、自然独占体(電気、ガス等)の製品、サービス料金の引上げを主要因に10%台を超える高水準で推移している。
<2006年の経済見通し>
06年も6%程度の経済成長が見込まれる(政府見通し5.8%、民間機関7社の平均5.3%(05年10月))。民間機関の見通しは、半年前に比べて下方修正されている。
成長を支える要因としては、引き続き原油高に伴う輸出の拡大を背景に、エネルギー産業を中心とした投資や国民所得を引き上げて内需を拡大させ、成長率に寄与するという好循環が続いていることが挙げられる。下方リスクとしては、現在の好調な経済はエネルギー部門により支えられている面が大きく、この成長を持続するためには、エネルギー部門以外の産業育成を図り、本格的な経済発展の基盤を整備することが課題として挙げられる。また、順調な経済成長が続く一方で、貧富の格差、貧困問題は依然深刻であるとされ、その解消も重要な政策課題とされている。
<財政金融政策の動向>
05年度予算では、05年度財政収支はGDP比1.5%の黒字が見込まれているものの、既に年前半で同8.9%の黒字になっている。8月末に国家院へ提出された06年度予算案では、06年度の歳入は、5兆461億ルーブル(GDP比20.7%)、歳出は4兆2,701億ルーブル(同17.5%)で、7,760億ルーブル(同3.2%)の黒字が見込まれており、02年以降、5年連続の黒字の見通しとなっている。しかし、近年10%以上のインフレに悩む現状では、こうした歳出の大幅増によりさらなるインフレが生じる懸念もある。一方、04年初から導入された原油価格が急落したときに備えて、高いときに生じる原油関連の歳入を蓄える「安定化基金」の積立額は、原油価格高騰から、9月時点で残高は8,321億ルーブルを超え、年末には1兆3,800億ルーブルに達すると見込んでいる。これにより、4月現在で約1,100億ドルの対外債務を有していたが、安定化基金の資金を利用して、IMFや債権国会議(パリクラブ)へ期限前返済を行うなど、債務返済は順調に進んでいる。また、400億ルーブルの支出を来年度予算に計上している。
中央銀行は、ユーロとドルの2通貨で構成する通貨バスケット制(2月にドルに連動させる為替制度から移行)のドルとユーロの比率を当初の9対1から8月には6.5対3.5に変更した。