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17 イタリア     Republic of Italy

<2004年>

イタリア経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は0%程度となる見込みである(政府見通し0.0%、民間機関6社の平均▲0.0%(05年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2005年5月0.4%)に比べて下方修正されている。
 1〜3月期は輸出の減少とそれに伴う生産の減少により、04年10〜12月期に続いて前期比年率▲2.1%となった。しかし、4〜6月期は輸出の回復を背景に同2.6%と拡大に転じた後、7〜9月期は同1.2%と鈍化した。
 雇用環境は、労働市場改革の推進による就労形態の多様化、労働市場の柔軟化が進んだことにより、失業率が低下するなど改善傾向にある。
 また、輸出は、主力品である衣料品、家具、タイル等の労働集約的な財が中国や中東欧などの製品にシェアを奪われているという国際競争力低下の構造的問題が存在しており、イタリア製品の国際競争力の強化が課題となっている。
 こうしたことから、年後半は、輸出を中心に緩やかに回復傾向にあるものの、個人消費の低迷が続くなど、先行きが不安定な要素もある。

イタリアの主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は1.0〜1.5%程度となる見込みである(政府見通し1.5%、民間機関6社の平均1.0%(05年10月時点))。
 成長を支える要因としては、05年初からのユーロ相場の減価傾向の影響が時間差を経て現れている中、米国や新興諸国を中心とした輸出の回復により企業収益が改善し、さらに投資・生産の増加が見込まれることが挙げられる。
 下方リスクとしては、国際競争力低下や財政赤字拡大等の構造的問題が根本的に解決しておらず、景気回復局面にマイナスの影響を与える可能性もある。

<財政金融政策の動向>
 政府は05年の財政収支赤字をGDP比4.3%の赤字としており、3年連続で「安定成長協定」の3%の上限を超える見込みである(財政赤字:03年GDP比3.2%。04年同3.2%)。
 7月に開催されたEU経済財務理事会(ECOFIN)では、「この状況が政府のコントロールの及ばない稀な出来事の結果でもなければ、深刻な不況の結果でもないことから、条約に定義されているような例外的なものではないと示唆している」として、安定・成長協定見直しの精神を適用し、イタリア政府に対して07年までに財政赤字をGDP比3%以内に是正するよう勧告を行った。本来なら是正期限はECOFINから勧告を受けた翌年の06年であるが、ECOFINは欧州委員会の勧告通りに1年間の猶予を与えた。この勧告を受けて政府が作成した「2006〜2009年の経済財政計画」によれば、経済成長率が2%を下回る中でも財政緊縮を進め、07年には財政収支赤字をGDP比3%以内に収めるとしている(06年3.8%、07年2.8%)。
 また、9月に閣議決定された06年度予算法案では、国有土地の売却や医療費の抑制等、歳出減・歳入増のための諸施策を通じて200億ユーロの財源を捻出し、そのうち115億ユーロを財政赤字の削減に充当することとしている。


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