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7 シンガポール     Republic of Singapore

<2004年>

シンガポール経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は3%台後半になるものと見込まれている(政府見通し3.5〜4.5%、民間機関27社の平均3.8%(05年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(05年5月時点4.0%)に比べ下方修正されている。05年前半の経済成長率は、1〜3月期はIT関連財輸出の伸びが同分野における世界的な需要の減速を反映し減速したほか、医薬品の生産が低迷し、前年同期比2.7%と減速した。4〜6月期にはGDPの4分の1を占める製造業が、エレクトロニクス製品を中心に回復し、同5.2%となった。シンガポールではバイオメディカル部門が主力産業の一つであるが、生産の振れが大きく、結果として経済動向を左右している。今後の展望としては、世界的なIT関連財需要の持ち直しが予想されており、シンガポールにおいても、IT関連財を中心に伸びが鈍化してきた輸出は、05年後半は緩やかに回復している。また輸出の回復に伴い、05年前半に停滞傾向をたどった企業の設備投資も回復に転じるものとみられている。

シンガポールの主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は4%半ば程度となる見込みである(政府見通し3〜5%、民間機関27社の平均4.5%(05年10月時点))。
 成長を支える要因としては、IT関連財需要の世界的な回復期待による製造業生産及び輸出の伸びが加速することが挙げられる。
 下方リスクとしては、欧米や中国経済の減速による輸出の伸び悩みや、それに伴う民間消費の鈍化等が挙げられる。原油価格の高騰に関しては、シンガポールは石油の精製によって利益を得ていることもあり、政府は経済へのマイナスの影響は限定的であるとしている。

<財政金融政策の動向>
 財政政策については、政府は05年2月に発表した05年度予算案で、前年に引き続き歳出を抑制し、財政健全化路線を堅持すると表明した。歳入面では、所得税の最高税率を07年までに22%から20%に引き下げる一方、たばこ税や外国人労働者税の引上げを決定した。
 04年3月、政府は観光客誘致を図るため、総合リゾート施設の開発を進める構想を打ち出した。同構想には、治安・社会風紀上の観点から従来は認められていなかったカジノを開設する案が盛り込まれ、その是非を巡り論争を招いた。政府は約1年にわたり検討を進めた結果、05年4月にリー首相が国会において、カジノを含む総合リゾート施設の開発計画に正式に着手することを発表した。政府の試算では、総合リゾート施設の開発は観光収入の拡大をもたらすことから、15億シンガポール・ドルのGDP押上げ効果が見込まれるとしている。
 金融政策については、シンガポールは為替レートを通じた金融政策を実施しており、04年4月以降、シンガポール通貨庁(MAS)はインフレ圧力を抑制するため、シンガポール・ドルの名目実効為替レートが緩やかに上昇することを容認している。05年10月に発表された半期経済報告でも、今後ともこの金融引締めを継続することで物価安定を図ることが示された。


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