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8 インドネシア     Republic of Indonesia

<2004年>

インドネシア経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は5%台後半となる見込みである(政府見通し6.0%、民間機関9社の見通し5.2%(05年10月時点))。民間機関の予測は、半年前(05年5月時点5.3%)と比べ下方修正となっている。
 05年1〜3月期の経済成長率は前年同期比6.4%と、前期に続き2四半期連続で6%台となったものの、4〜6月期の経済成長率はやや減速し、同5.5%の成長となった。この要因として、これまで景気のけん引役を担ってきた個人消費の伸びが、原油価格の高騰に伴う国内燃料価格引上げや、ルピア安による物価の上昇等を受け鈍化したことが挙げられる。一方、投資は企業の設備投資を中心に増加して2桁の伸びを維持しており、堅調に推移している。輸出は柱である石油・天然ガスの輸出が低下するなど、伸びが鈍化する一方、輸入は資本財が大幅に増加しており、企業の設備投資意欲が増してきたことがうかがえる。
 05年10月1日にバリ島で同時爆弾テロが発生した。インドネシアの観光業はGDPの約5%を占めており、外国人観光によるドル収入はバリ島にかなり集中しているため、この爆弾テロが観光業への打撃になるとの懸念もある。

インドネシアの主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は5%台後半となる見込みである(政府見通し6.2%、民間機関9社の平均5.1%(05年10月時点))。
 成長を支える要因としては、政府がインフラ・投資関連法制の整備を通じて投資を推進する政策を打ち出したことを受け、企業の投資マインドが改善しており、引き続き民間投資が拡大することが挙げられる。
 下方リスクとしては、原油高による燃料補助金の増加が引き起こす財政の悪化や、ルピア安に伴うインフレ懸念等による消費の鈍化が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 インドネシア政府は05年10月に06年度国家予算案を可決した。内訳は、歳入が625.2兆ルピア、歳出が647.7兆ルピアで、財政赤字は22.4兆ルピア(GDP比0.7%)となっている。インドネシアでは原油価格の変動による市民生活への影響を抑えるため、燃料補助金を拠出し石油製品の国内価格を低水準に維持してきたが、昨今の原油高騰により補助金額が急速に拡大しており、8月に発表された予算案では、当初予算の19兆ルピアから76.5兆ルピアへと大幅増額された。しかし、これを受けて財政悪化懸念が高まったため、政府は9月に05年度第二次補正予算を可決し、燃料補助金を大幅に削減することを決定した。10月に可決された06年度予算案でも、燃料補助金は8月に発表された当初予算より20.7%引き下げられた。また、10月1日よりガソリン等石油製品価格を平均2.3倍と、大幅に引き上げることを発表した。
 金融政策については、燃料補助金の急増に伴う財政悪化の懸念から、ルピアが8月下旬に一時4年ぶりの安値となる12,000ルピア近くまで急落したため、インドネシア中央銀行は8月末、政策金利を8.75%から9.5%に引き下げ、さらに9月には10.0%、10月には11.0%と断続的に引き上げた。また11月1日にもCPIの大幅な上昇を受け、12.25%へと追加利上げが実施された。こうした当局の姿勢を受けてルピアは増価に転じているが、今後石油製品の値上げが社会不安を引き起こす事態となれば、再び下落する可能性もある。


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