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6 香 港     Hong Kong

<2004年>

香港経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は、5%前後(政府見通し4.5〜5.5%、民間機関27社の平均5.0%(05年10月時点))となる見通しである。民間見通しは半年前(05年5月時点4.6%)に比べ上方修正されている。04年1月に中国本土との経済貿易緊密化協定(CEPA)が施行され、374品目に対し関税が免除されていたが、さらに05年1月1日より713品目が加わり、中国向けを中心に貿易が堅調に増加したことや、観光関連産業が好調であったことなどを受けて、経済成長率は、05年1〜3月期が前年同期比6.2%、4〜6月期が同6.8%となり、景気は拡大している。失業率は過去最高を記録した03年7月(8.7%)以降、緩やかに改善している。物価上昇率は、99年以降5年連続でマイナスとなっていたが、景気の拡大に伴い、04年7月以降プラスとなっている。

香港の主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は、5%台半ば程度(民間機関27社の平均4.4%(05年10月時点))となる見込みである。
 成長を支える要因としては、まず輸出の拡大が挙げられる。貿易総額の約45%のシェアを占め、最大の貿易相手国である中国本土への輸出のうち、CEPAに基づき現在1,087品目に対し関税が免除されているが、06年1月1日より、その免除適用範囲が拡大されるため、中国向け輸出はさらに増加が見込まれる。次に、堅調に推移している観光業が挙げられる。中国人が香港を訪れるには特別通行証明書を申請しなければならなかったが、03年後半から個人旅行が徐々に解禁され、広東省・北京市・上海市等の一部で認められた。05年11月1日に新たに瀋陽等の4都市についても香港への個人旅行を認可したことや、05年9月に香港ディズニーランドが開業したことなどから、香港観光発展局は05年3月に06年の観光収入が1,147億香港ドル(前年比17.3%増)と大幅に増える見通しを発表しており、観光業が景気を下支えしていくものとみられる。

<財政金融政策の動向>
 04年度の財政収支は、景気回復を反映し5年振りに黒字となったが、05年度予算は、従来どおり支出削減の徹底を基本とする一方、新税の導入や既存の税率の引上げは行わず、財政赤字額は105億香港ドル(GDP比0.77%)が見込まれている。
 歳出は、前年度比1.6%増の2,536億香港ドルを予定し、教育、社会福祉、衛生、治安維持等に充てる予定である。歳入面では、児童控除及び55〜59歳までの父母を扶養する給与所得者に対する基礎控除の拡大、相続税の撤廃が実施されることで、2,430億香港ドルと前年比7.1%の歳入減を予定している。その他、環境税の新設や導入の是非を巡り議論が続く消費税(GST)については、引き続き検討することとしている。
 金融政策については、05年5月、香港金融管理局はカレンシーボードにおける上・下限値を新設し、1米ドル=7.75〜7.85香港ドルにシフトした。また、連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引上げに追随して、政策金利(基準貸出金利)を7月、8月、9月にそれぞれ0.25%ポイントずつ引き上げ、9月末には5.25%とした。


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