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15 ドイツ     Federal Republic of Germany

<2004年>

ドイツ経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は、1%弱程度となる見込みである(6大経済研究所見通し0.8%、民間機関26社の平均1.0%(05年10月時点))。05年前半の経済成長率は、1〜3月期が前期比年率3.0%と高い伸びとなったものの、これは04年後半にユーロ高が進んだこと等により急減した輸出の反動増等が主因と見られ、4〜6月期には同0.0%と減速した。失業率は依然過去最高水準にとどまり、消費者信頼感は低迷、個人消費は抑制されており、内需の回復は遅れている。投資も、建設投資の調整は続いている。
 しかし、企業部門では、世界経済の持ち直しやユーロが減価傾向にあることを受けて輸出が増加したことを受け、企業景況感が6月以降改善している。受注も持ち直し、生産は増加している。7〜9月期の経済成長率は、前期比年率2.5%となったが、年後半は、輸出が引き続き景気のけん引役となることが見込まれる。

ドイツの主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は、1%台前半程度となる見込みである(6大研究所見通し1.2%、民間機関26社の平均1.4%(05年10月時点))。
 引き続き外需の増加が予想されるが、内需拡大による輸入増加もあり、成長への寄与は小さくなると見込まれる。一方で、企業収益の改善傾向や低金利の持続、設備稼働率の上昇から企業の設備投資意欲が増進し、投資は持ち直すことが見込まれる。また、労働市場改革の成果が徐々に現れてきており、雇用も緩やかな増加傾向にあることから、個人消費も緩やかにではあるが増加していくことが見込まれる。このように、徐々に内需の増加が成長を支えていくものと予想される。
 下方リスクとしては、原油価格上昇の影響や、多くの国において金融引締め策がとられており、それに伴うインフレ懸念等から、世界経済の成長が予想以上に鈍化した場合、輸出や生産の伸びが鈍化する可能性が挙げられる。この場合、投資の先送りを招き、内需の回復がさらに遅れる懸念がある。また、06年に実施予定の労働市場改革法で失業手当の給付期間が短縮されることや、連立協定で解雇保護法が緩和されることとなったことから、状況によってはさらに消費を抑制する可能性がある。

<財政金融政策の動向>
 財政赤字は、02年がGDP比3.8%、03年が同4.1%、04年が同3.7%と、3年連続して「安定と成長の協定」で定めた遵守基準(3%)を超過しているが、05年においても引き続き3%を超えることが予想される。
 7月に閣議報告された06年度連邦政府予算案では、政府は230億ユーロに上る民営化収入や旧国営企業の年金基金の証券化を通じて60億ドルを確保するなどして、06年の財政赤字を215億ユーロに設定しているが、それでも財政赤字GDP比は3.4%と見込まれている。
 9月18日には総選挙が実施され、第一党となったキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)がこれまでの与党の社会民主党(SPD)と「大連立」を組み、新首相にはアンゲラ・メルケルCDU党首が就任した。両党の連立協定においては、付加価値税(VAT)の税率を07年1月から19%に引き上げ(現行は16%)、マニフェストで明記していた法人税減税を08年からに先送りするなど、財政赤字削減を強く意識した政策がとられると見られている。


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