13 オーストラリア Commonwealth of Australia
<2004年>
<2005年の経済>
2005年の経済成長率は、2.5%程度となる見込みである(民間機関25社の平均2.6%(05年10月時点) )。民間機関の見通しは、半年前(05年5月時点2.7%)に比べて下方修正されている。05年前半は、昨年ほどの勢いはないものの、安定的な雇用情勢の下で底堅い消費や国際商品市況の高騰を受けた天然資源関連分野への設備投資といった内需が好調なこと、豪ドル高基調の一服感による輸出の増加から外需のマイナス寄与が縮小傾向にあること等から、経済成長率は1〜3月期前期比年率2.0%、4〜6月期同5.3%と堅調に推移した。05年後半も引き続き、好調な商品市況を背景に、石炭、鉄鉱石等の天然資源関連分野における設備投資や輸出の増加等が期待される。
<2006年の経済見通し>
06年の経済成長率は、3%程度になる見込みである(政府見通し3.0%(05/06年度)、民間機関25社の平均3.0%(05年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(05年5月時点3.1%)に比べ下方修正されている。
成長を支える要因としては、天然資源関連の設備投資が堅調に推移すること、豪ドル高基調の一服感による輸出の増加等により外需がプラスに転じる可能性があること等が挙げられる。
下方リスクとしては、02年から数次にわたる利上げ効果の波及により住宅価格の騰勢が鈍化していることを背景とした消費の減速や、原油価格高騰が消費者物価に与える影響等がある。
<財政金融政策の動向>
財政収支は、9.8億豪ドル(GDP比0.1%)の赤字となった01/02年度を除いて、97/98年度以降連続して黒字を達成している。04/05年度は良好な経済環境を反映して税収が増加し、当初見込み額を上回る136億豪ドル(GDP比1.6%)の黒字となった。05/06年度も、74億ドル(GDP比0.8%)の黒字を見込んでいる。
05年5月に発表された05/06年度の予算案の特徴としては、大規模な個人所得税減税と福祉制度改革が挙げられる。所得税減税では、課税対象所得額の引上げや低所得層への適用税率の引下げ等、広範囲な所得層が対象となり、減税規模は今後4年間で総額217億豪ドルとなる見通しである。こういった大規模な減税を行う背景には、国際商品市況の高騰や高成長を続ける中国への輸出の増加などの外的要因による、法人税収の大幅増収がある。一方、福祉制度改革では、将来の高齢化の進行による医療・福祉関連支出の財政圧迫を見込み、福祉手当や身障者手当等の受給資格の厳格化や医療費の政府負担の上限の引上げ等、伝統的に手厚かった福祉支出が抑制されることとなった。また、今後ベビーブーマーの世代(概ね1946〜65年生まれ)の引退に伴い就業人口が減少していくことが見込まれるため、母子・父子家庭の親や身体障害者への就業支援、05/06年度からの移民受入れ枠の拡大等、労働力を高めるための政策がとられることとなった。金融政策については、オーストラリア連邦準備銀行が05年3月、ひっ迫した労働市場による賃金インフレ圧力からキャッシュレートの誘導目標水準を0.25%ポイント引き上げ5.50%としたが、02年から数次にわたる利上げの効果の波及により住宅価格の高騰が鈍化し住宅市場の過熱感が払拭されていることや、個人消費の伸びが緩やかになっていること等を背景に、以後金利は据え置かれている。