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18  イギリス    United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

イギリス経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の経済成長率は、1%台後半となる見込みであり(民間機関24社の平均値1.6%、2002年10月時点)、春時点の見通しと比べ下方修正されている。1〜3月期の成長率が前期比年率0.5%、4〜6月期が同2.5%と、昨年後半からの景気減速傾向は年初まで続いたが、その後、景気は持ち直し回復の動きがみられる。これは家計部門の良好な雇用・所得環境および歴史的な低水準にある政策金利等に支えられて、個人消費や住宅投資が堅調に推移したことや、今年に入ってから外需に回復傾向がみられたことなどによるものである。年後半は、個人消費が景気を下支えするものの、ユーロ圏経済の成長鈍化等により輸出は弱含み、企業の設備投資減少も続くと予想されている。そのため年後半の経済成長は前半よりもやや緩やかになるものと見込まれている。

イギリスの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 2003年の経済成長率は、2%台後半となる見込みである(民間機関24社の平均値2.7%、2002年10月時点)。個人消費の伸びはやや鈍化すると見込まれるものの、世界経済の緩やかな回復に支えられて輸出が回復すると見込まれている。
 成長を支える要因としては、物価の安定や良好な雇用環境を背景に個人消費が比較的堅調に推移するほか、輸出の回復等を契機として2001年から落ち込んでいた民間設備投資に持ち直しの動きが見込まれることなどが挙げられる。下方リスクとしては、高騰が続いている住宅価格が今後仮に下落すれば、逆資産効果が発生するおそれがあること、2002年後半に入ってから対ドルだけでなく対ユーロでもポンド高の傾向となっており、この傾向が続けば輸出部門に悪影響が出ること、世界経済の回復に不透明感が増していることなどが懸念材料として挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 財政収支は2001年度まで連続して黒字を達成していたが、2002年度は景気減速の影響等から税収が伸び悩み、赤字となる見込みである(GDP比▲1.0%)。7月に発表された2003〜2005年度包括的歳出見直しによれば、2003〜2005年度の公共部門支出は年平均で実質4.2%増と見込まれ、特に社会保障・保健、教育、交通の各項目で大幅な増額となっている。政府は、評判の悪い医療サービスや不規則な鉄道輸送等の公共サービスの改善に本格的に取り組むこととしている。なお、国民保健サービス(NHS)については、年平均7.4%の支出増が見込まれているが、その財源として2002年4月に政府は、2003年4月から保険料を雇用者、被用者、自営業者の所得に追加的に1%上乗せして徴収することを明らかにしている。
 金融政策については、2001年11月以降、イングランド銀行は政策金利を4.0%のまま据置いている。2002年9月の金融政策委員会では、世界経済の回復が今後一段と弱まることなどを懸念して、今後の金利動向についてそれまでの引上げから、必要に応じ利下げを実施する用意があることが示された。そのうえで、利下げを直ちに行うかどうかについては、家計部門のさらなる債務増大につながりかねないことなどから時期尚早であると判断している。


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