<2002年の経済>
2002年は4%程度の経済成長が見込まれる。2002年に入ってからは経済成長率が1〜3月期前年同期比3.7%、4〜6月期同4.1%となるなど、景気は拡大している。一方、個人消費や固定投資が堅調に推移し内需の拡大がみられ、経済は輸出依存型から内需主導型に転換しつつあり、今後も持続的な成長が期待できる。
2002年の経済成長率の見通しは春時点に比べて上方修正された。民間機関4社による見通しは平均4.0%となっており、2002年の4月時点の予測値3.5%から上方修正されている。
<2003年の経済見通し>
2003年の経済成長率は4%程度の経済成長が見込まれる。なお、政府は2003年予算案において3.4%の成長を前提としている。民間機関4社による見通しは平均4.3%となっており、2003年もおおむね安定した拡大を続けるとみている。
成長を支える要因としては、失業率の低下等を背景に個人消費が堅調に推移し、生産や固定投資が増加するという好循環が続くこと及び構造改革の進展等が挙げられる。
下方リスクとしては、世界経済の更なる回復の遅れによって、既に減速している輸出が一段と伸び悩む可能性等が挙げられる。また、主要輸出品である原油価格の動向はロシア経済に大きな影響を及ぼすことから、その動向には注意が必要である。
<財政金融政策の動向>
原油価格の高い水準での安定やマクロ経済の好調さから、財政収支は黒字基調で推移している。しかし、2002年度当初予算の想定より歳出の増大が見込まれることから、政府は2002年度補正予算を策定し、財政見通しを対GDP比1.6%の黒字から0.7%の黒字へと大幅に下方修正した。
2003年度予算案では原油価格の安定を見込んで2年連続の黒字予算となっている。この財政黒字は対外債務の返済に充てられている。また2003年は対外債務返済のピークといわれているが、クドリン副首相兼蔵相は現下の状況では返済を履行できると発言している。大幅な減税が実施されており、7月には中小企業税制簡素化法が成立した。
金融政策では、政府の定めた2002年の消費者物価上昇率の目標値12〜14%に向けて中央銀行が物価の安定に努めており、インフレ率はほぼ目標にそっている。しかしながら、為替レートの安定化を図るため、外国市場で大幅なドル買いを行っていることから外貨準備高が増加している。このドル買いを不胎化するための適切な手段が依然欠けていることから、マネーサプライは増加しており、物価動向は引き続き注視する必要がある。